オーディオの部屋3 20260101~
2026/7/2 AUDIOALCHEMY DTI-PRO32 その2
接続ケーブルをDIN6ピンで使ったので、壊す前に接続してみた。この機器は、外見は同じでも時期によって、電源仕様が異なるとの情報がある。ネットには±DC18V、±DC8Vを供給しているとの記事があった。果たして自分のは、どうなのかと見てみたら、±DC22Vと±DC12Vを供給していた。とりあえず電源を入れたら、本体側の表示が出たので、ほっとした。センターピンがGNDだろうと思っていたが、そうではなかった。この後、電解Cを交換してみる。12Vのほうの電圧がバラついているのが気になるが。MS DB101と言うダイオードが使われている。50V 1Aの整流用だ。互換品でVISHAY DF06MA 600V 1A品を入手して、ピッタリ12Vが出るかをやってみようと思う。
気になったので、電源部の電解Cを外して容量測定してみた。コンデンサ自体は、膨らみも液モレもなく健全に見えるが、容量は3255,3290,3387,3905μFとバラツキがあるので、寿命と判断して良かろう。デジタル基板でランドが小さいが310℃で盛りハンダすると簡単に取れた。交換品は、日本ケミコン製でスペックは全く同じものにした。ただし耐熱性は85⇒105℃に上げた。
こいつを買った目的は、WADIA2000ver96の許容上限bit数の20bitで入力したかったからだ。もちろん今時のMUTEC MC3などのほうが性能は高いのが当たり前だが、いかんせんインターフェイスが合わないことには使えない。このように16から24bitまで、ユーザーが指定することが出来るのだ。こいつが出た頃は、ジッター低減と豊富なインターフェイスが売りで、あまりbit変換機能は宣伝されてなかった気がする。今更だが、使って見たくなったのだ。20bitは、POWER LEDが上から「OFF ON ON」だ。

2026/6/28 AUDIOALCHEMY DTI-PRO32
何故こんなものを買ったかというと、WADIA2000ver96のためである。ver96は、20bitまで演算可能なので20bitで入力してみたくなったのだ。でもこれがなかなか大変で、たとえばエソテリのDD-10などは可能であるが、すでに売却してしまった。また2000ver96の自分のモデルはSTリンクしか受け付けないので、ST出力付きのDDコンバータは、現在では皆無と言っていい。まあ自作のDIGILINK50をかませば何とかなるんだが。そこで思いついたのがDTI-PRO32だ。これはST出力があり、しかもbit数を可変できる機能があるのだ。たぶんこの当時はbit数を可変する恩恵を受けられる機種は少なかったと思う。自分はdcsのPAGANINIも持っているので、これにbit変換をさせて、自作DIGILINK50を付ければ成立するが、どうもスマートでないし、WADIAとdcsを同居させるのは、気持ちが悪い。お互いに相いれないだろう。また今回PS3と言う専用電源も入手できた。ただしPS3(パワーステーション)をそのまま使う気はなく、6PINのDINコネクタを調べて、専用電源を作りたいと思っている。電源だけは、現在のパーツで作ったほうが安定度、ノイズ、余裕度の全てで優ると思うからだ。DTI-PRO32は、凝った設計になっていて、本体内で再度、安定化電源を作っているのだ。なので外部電源の質が向上すれば、音質も向上するのだ。ところが、こいつが出だしからつまづいた。本体と電源部が別々に売られていて、両方を買ったが、良く見るとどちらにもDCケーブルが付属していない。だから本体が未確認になっていたんだと、今初めてわかった。ここからがまた闇が深かった。6ピンのDINコネクタだと思って買おうとしたら、ただの6ピンじゃなかった。DIN45322規格と言うもので、6ピンが60°で分配されているのでなく、センターに1ピンありその周りに5ピンがある240°仕様と言うものだった。この手の6ピンのコネクタ付きケーブルは一般には売られていないので、自作しなくてはならないのだ。いやいや最初から、偉いことになってしまった。まずはケーブル作りからスタートだとは思わなかった。コネクタとケーブルを探して自作して、やっと動かせる。ピン配置を間違ったら、本体はおしゃかになる。なかなかリスキーなものに手を出してしまった。ちなみにコネクタ(オス)は、610-0600と言う型番で買える。スイッチクラフトもあるが、高価で手が出なかった。1ケ¥2400は、すぐには決断できない価格だ。普通の6ピンでも良い気がするが、無理やり入れて本体を壊すのを、嫌ったのだと思う。

これが滅多に見られない中身だ。専用ROMが使われているので、白いシール付きICが壊れたら修理不可能だ。基板自体はしっかりと作っている。基板の右側にレギュレータが3つある。たぶん5Vと12Vを作っていると思われる。PS3の基板は、デジタルとアナログと書かれた基板にトランスが2つ載っている。アナログ回路は無いので、多分何かの流用だろう。電解Cは3300μF 25Vが4本。これから想像すると、こいつはDC15V付近と8V付近を出しているはずだ。あとで電気を入れて確認しよう。とりあえず内部は液漏れもないので、このまま使って問題ないだろう。参ったのは、PS3のゴム足だ。どうやら安いウレタンゴムらしくベロベロに加水分解し、液状になったものが内部に入っていた。さらに困ったことに、どうも本体の上にPS3があったらしく、溶けた液状のものがケースに垂れてきてこれも内部に侵入していた。余程長時間使われず放置されていたのだろう。だからDC接続ケーブルもないのだ。電源部も思ったよりしっかりしていたので、自作しなくても大丈夫そうだ。
2026/6/26 バイアス調整
出来上がった新SLC回路を実装し、M-Z1のバイアス調整を実施した。無負荷でSLC回路単体のバイアス値を±1.9V程度に調整しておいたが、負荷が掛かると結構下がって来るのがわかり、実機に付けながら微調整をしている。これが実際の測定値だ。バイアス調整の狙い値は250mVで、見事に2時間後に平衡状態になった。DCオフセット値は、本体側が自動調整してくれて、最後は10.6mVと超優秀な値。この状態でヒートシンクの温度は71℃。トランジスタQ2、Q3が48℃。Q5、Q6が44℃。オペアンプが52℃だった。バイアス電圧も、左右差はmVレベルに収まっており、Q2、Q3を背中合わせにしなくても十分に熱収束することが証明された。あとは試聴するだけだ。これでセンターSP用のアンプが決まったので、アキュフェーズ A-20は売りに出そう。

2026/6/25 SLC回路改良 その2
何度も作っているので、あっと言う間に完成した。電源電圧が13.4Vなので、12.4Vぐらいで歪むだろうと予想したが、予想どおりだった。前回が3V今回が12Vなので約4倍のマージンになった。これならそこそこ行けるはずだ。波形も以前より綺麗になっている。回路が洗練されノイズを拾わなくなったのだろう。たぶんグランドの取り方が、うまくなったおかげだと思う。今回の目玉はDCオフセット調整が、アイドルバイアス調整に影響しないことだ。結論から言うと、これは失敗。と言うかできるはずがないのだ。第一にオペアンプと後段のエミッターフォロワーバッファーは、直流カットのデカイ緑色の電解Cが入っている。なのでオペアンプでいかに直流を出して調整しようとしても後段には伝わらないのだ。結果的に、DCオフセット調整はアイドル調整に影響しなくなった。DCオフセット調整は、アンプ本体のフィードバック回路がやってくれるので、意味がなかったのである。付けておいてもノイズ源になるだけなので、トリマーを除いて削除した。DCオフセットは、実測で11~18mVぐらいで「超優秀」である。今回は、電圧アップに伴いトランジスタにヒートシンクを付けた。30分ぐらいでは、ほんのり温まる程度で無くても問題ない。結局スーパーリニアサーキットは、正側と負側のオフセット電圧2Vを「同相」で出力することと、ゲインが21倍になること。この2点を実現すれば実機は動くことがわかった。あとは、再度バイアス値を2時間かけて追い込み、試聴するばかりだ。最初から、「同相」で±2Vを出すことと、DCオフセット調整は本体側に任せる(と言うか任せるしかない)ことが、わかっていれば、こんなに時間はかからなかっただろう。先生もいないし、回路図だけでここまで出来たことは、頑張った甲斐があった。トランジスタをONさせるために、LEDを使ったのは良いアイディアだった。点灯することで、ONになっているかわかるし、左右が同じ光量になっていなければ、回路に問題があることがわかる。完全に動くようになってから、正側、負側のポイント電圧を測定すると、すべて±0.1V以内に入っていた。きちんと作れば、このぐらいの精度で仕上がることがわかったことも収穫だ。前回と今回の差は、配線技術の差だ。今回は、スペースが広くなったこともあるが、部品実装面には、配線は1本も無いのだ。すべてハンダ面に配線してある。さらに数珠繋ぎ配線はやめ、すべて±13.4Vのピンから直接給電している。よってほかの回路の負荷変動の影響を受けることなく、各パーツは動作できるのである。これもSNの良さに貢献するはずだ。黄色と緑色の波形が完全に一致して乱れが無い。これなら、静かでかつエネルギッシュなサウンドが得られるはずだ。3ケ月もやっていると、波形を見ただけで、なんとなく想像できるようになるものだ。今回は、自然空冷も考慮し、縦方向にトランジスタを実装したので、放熱と熱安定性も良いはずだ。電源生成部は、下部にある8本の入出力ピンより下側に実装しているので、ノイズ源とトランジスタの距離は、十分確保できている。基板サイズを大きくしたことが、すべて良い方法に向かっている。
2026/6/24 SLC回路改良 その1
入力が大きくなると歪が発生する問題に対応するため、再度、スーパーリニアサーキットを再設計することにした。原因は、わかっていてトランジスタの駆動電圧が足りないからだ。現在、4Vで駆動しているのを±13.4Vまで上げる。本体からの安定化電源をそのまま使うのだ。電圧が上がった分、熱量も増えるので、電流値を元と同じぐらいに調整しなくてはならない。そこで抵抗値とW数を再検討して実装する。また、今回からDCオフセット調整が後段に影響を与えないように回路を変更する。それに伴いパーツも増えるので、基板面積を拡大することにした。元と同じサイズにこだわる必要は全くない。何故ならオープンモジュールなので、実装できれば、それで良いからだ。実際には、下側には、SP保護リレーがあったり、左右には電解Cがあったりするので、2倍にできるわけではないが、それでもデカイ無極性電解Cを実装するには、十分なスペースが生まれた。さらに下側に伸ばした所に4つの電源部を実装できたので、2つぐらいは、トランジスタにヒートシンクも実装できそうだ。すでに±3.2Vと±4Vの電源は完成し、-4.08V,-3.18V、+3.3V、+3.98Vと±0.1V以内で性能が出ている。ここからが大変だ。±13.4Vを無駄なく使うため、可能な限り独立給電にしたいのだ。そうなると±13.4V端子から、何本もの配線を出す必要が出てくる。さてうまく実装できるだろうか。基板面積が大きくなったのと、何度も作っているので、配線自体は無駄がなくなってきている。1点アースもできている。アースの処理は、電源の質と、全体のSNに直結するので非常に重要だ。またダラダラと配線を引き回さず、最短で接続するのは、電気回路もオーディオも同じだ。長く引き回す場合、バランス伝送、バランス接続が有利なのは、明らかだ。
2026/6/18 Mcintosh MC7100 パワーコントロール動作せず
自分のMC7100は、電源部を含む全電解Cを交換し、トリマーも多回転型に変更、照明もLED化し、バイアスもキッチリ合わせた完璧な状態のはずだった。自宅で映画を見る時、ステレオ、5.1ch、ATMOSとSPを切り換えるのに、複数のパワーアンプを入切する。マランツのAVプリは固定なので、これがソースのデコード情報を読み取って自動でアンプを入切して欲しいが、そんな機能は、どこにもない。MC7100は、5.1ch時のサラウンドSPに使う。試しにマランツプリから12Vトリガー(パワーコントロールと機能は同じ)を出しても、動かない。マランツ側の12Vが、故障していて10Vと4Vしかなく、さらに電流も弱くリレーを引く力もないようだ。仕方なく12Vのパワーコントロールボックスを自作した。これで動くはずだが、動かない。電圧はミニプラグまで届いている。これはバラすしかない。左のハンダが3つ並んでいるのが、信号の受け渡し部だ。一番上がIN:SP1、中央がOUT:SP2、一番下がGND:SP3だ。GNDを見て欲しい。ハンダの跡が全くない。回路図を見ると、SP3は、GNDに落とすようになっている。これじゃ12Vを入れても、帰ってくるルートが無いので、12Vは制御部には届かない。だから動くはずがないのだ。SP3をシャーシのGNDに落としたら、見事に電源が入った。結局、製造時のミスと本国検査ミスと日本のディーラーの検査ミスと3回の確認を通り抜けためずらしい個体だ。ここでSP2は、どうなっているか?ここがマッキントッシュのエライ所で、SP1とSP2を並列接続していない。SP1の信号を受けたら、OUT信号は、ディレイをかけてONしている。これは突入電流が複数のアンプで重ならないようにする配慮なのだ。こういう小技が利くのが、素晴らしい。
2026/6/17 XLR端子に改造
このアンプは、元々RCA入力しかない。しかも一見安物の樹脂で出来ている。実はこれが重要なことだとあとでわかった。このアンプのSLC回路は、すべてグランド基準で動くようになっている。なので信号のグランドとシャーシグランドが、混ざってはいけない。完全に切り離すことが必要になる。なので樹脂製のRCA端子でシャーシから完全に分離しているのだ。RCAのマイナス側は、どこにも接触せずSLC回路に導かれる。なのでこれを守らず金属製のXLR端子を付けたのが前回の失敗。なので今回は樹脂製のXLR端子を用意し、さらにRCA⇒XLRの変換ケーブルを作った。見た目こそXLRだが、接続はRCAと全く同じだ。何故、これを作ったかというと、単純にカッコが良いからだ。M5aには、XLR端子があるが、真面目に作っているなら、トランスでアンバランスに変換しているはずである。前回のRCA端子だとシャーシを削ったあとを隠せないので、ノイトリック製のXLR識別カバーを付けた。これで、それっぽくなった。ケーブルはスイッチクラフトのXLRプラグを使った。スイッチクラフトは、良く出来ている。この会社の製品は、安くても品質が一定で、すごく信頼感がある。ただしピンが銀メッキなので、定期的な清掃が必要だ。信号の流れは、プリアンプ:バランス出し⇒サイテーション CT1:バランス-アンバランストランス変換⇒RCAプラグ⇒XLRプラグ⇒MZ-1となる。これでRCAと全く同じ品質が得られる。試聴でノイズもなく問題なし。自作SLC回路だが、もう1つマイナス電源を実装できれば、歪のない大幅な性能アップが出来ることがわかった。機会があったら、やって見よう。ただし5つの異なる電源部を実装するのは簡単ではないし、どうせやるなら、DCオフセット調整とアイドル電圧調整が、完全独立でできるようにしたい。オペアンプにフィードバック信号を与えて、DCオフセット自動調整(理論上は、オフセットがゼロになる)も可能だ。
2026/6/14 完成! その2
昨日、XLR接続でノイズ出まくりで、困ったが、やっと解決した。結局このアンプは、「質の良いGND(グランド)基準に、動作するアンプ」だと言うことだ。今回、XLRの1番をシールド、2番をHOT、3番をオープンで接続していた。この場合、XLRケーブルがGNDになる。XLRケーブルの1番はGNDと言うことに決まっているが、XLRケーブルの1番は、GND兼シールドであるので、ここにノイズ成分も入っている。本来のバランス回路は、この歪がHOT、COLDで同成分入るので、出力で打ち消して信号を得ている。今回は、このノイズ入りのGNDが基準となってしまったので、全てをGND基準で動作するアンプには、非常に良くない環境になってしまったのだ。対策は、プリからのバランス出力を、CT-1:トランスで受けて、電気的にグランドループからGNDを切り離した。これで全て解決。ノイズフリーの本来の音になった。XLRコネクタを付けたパネルは、元のRCAに戻した。加工の跡がカッコ悪いが、自分で使う分には問題ない。自作SLC機のほうが、幾分シャープな気がするが、誤差範囲だ。左右の音量は、揃っているので、ゲイン設計は、うまく行ったようだ。音質は、さすがに500W相当のMC252のような、ズシンとくる低音は出ないが、中高域は、シャープになってくれる。これなら当初の目論見どおりセンターSP用に使えそうだ。通常の音量では、パワーメーターはピークでも1W程度だ。定格出力は60Wなので、相当の大音量で聞かないかぎりメーターは、振り切れない。サーミスタをヒートシンク付近に付けて、低速でファンを回して放熱にも配慮した。スタート時が23.8℃、約30分で33℃。2台のどちらもバイアス値は、250mVに調整しているが、熱の入り方が違う。オリジナル機は、すぐに暖まるが、自作SLC機は、なかなか暖まらない。この辺は、バイアス回路自体は同じ性能でも、全体としての動くは違うのだろう。とりあえず、これで本当に完成だ。結局、時間がかかったのは、自分が勝手に出力は、正相と逆相になっていると思い込んだせいだ。これで逆相を出すために、2回路入りのオペアンプに変更し、波形が出てもバイアスがかからない現象に悩み、逆相が間違いだと気づいた。もし最初から逆相は無いとわかっていたら、1回路オペアンプを2分配する設計にしていたかも知れない。あとは、信号入力とDCバイアスを両立させるため、信号入力をコンデンサを使って交流だけ、DCバイアス抵抗をパスさせる手法、およびオペアンプを85Vで駆動してた等、今考えると、分岐点はたくさんあったが、これも実力の無さの証。今回は、いろんなことが、わかった。最新鋭のオペアンプを投入しても、音質は劇的には、変化しないこと。自作SLC回路でも、十分実用に耐えるSN比を確保できたのは、唯一の収穫だろう。本家のSLC回路と違うのは、85Vを使っていないことだ。オペアンプは本体からの13.4Vで駆動しているので問題ないが、増幅用のトランジスタは13.4Vから作った4Vと3.2Vで駆動している。何故こうしたかは、トランジスタを動かすための「0.6Vの電圧差」が簡単に得られるからだ。だがそこに落とし穴があった。4Vで駆動するということは、3V程度までが出力の安全圏内で、それ以上だそうとすると電源電圧の上限に達し歪んでしまう。事実入力を300mV以上に上げると、波形が歪むのを確認している。つまりCDに記録された段階で、音量が大きいものは問題ないが、音量が小さいものは、プリのボリュームを上げる。そうすると300mVに達し音が歪んでしまう。大きな音量のROCKは問題なかったが、女性ボーカルの静かな曲は、歪んで聞けない。よって自作SLC回路は、万能でなくセンターSPで使う場合、歪んでもわかりにくい低域に使うことにする。センターSPに使った結果だが、思うような音が出た。透明度は、TRANSPARENTのSPケーブルで、緻密さはM-Z1で得られたようだ。セリフは、より前に出るようになり、聞き取りやすくなった。上下を同じモノラルアンプで駆動しているので、、音色、スピード感も揃っている。1W以上では、歪むが低域に使っているので、全くわからない。これでメインのB&Wの高域とセンターSPは、A級駆動になった。発熱は、それなりにあるが、5基の静音ファンで対処している。名機と呼ばれるだけあって、M-Z1は、さすがと言う感じだ。
2026/6/13 M-Z1用自作SLC回路 完成!
3ケ月かかって、やっと自作のSLC回路が完成した。SLC回路の仕様は、アイドル状態で5番、12番ピンから「正相」のDC1.8V以上アイドル電圧を出力すること。SLC回路全体の音声信号ゲインは、21.4倍程度。回路自体は、フィードバックなし。この3点である。わかってしまえば、簡単なことだが、50回以上回路を書き直し、試作は4枚以上。結局3ケ月かかって、なんとか完成した。最後のオペアンプのゲインの調整は、21倍を狙ったが、実測では20倍だった。3枚目の写真を良く見ると、ゲインが20倍になっているのが、わかるはずだ。波形は3本あるが、1本に見えるほど、歪みなく位相も揃っている。最後の変更で、緑色のニチコン MUSEが載るかどうか不安だったが、なんとかピッタリ収まった。たぶん10回以上は、マザーボードに付けたり、外したりしたが、自作基板もマザーボードも熱に強くて良かった。最終的は、調整値は電源ONから2時間後で、バイアス値:250mV(規定値は294mV)。DCオフセット:-18.2mVだ。このDCオフセット値は、非常に優秀な値である。
測定値だけでは不安なので、実際に音を出してみた。音像は、ほぼ中央に定位したので、音量は同じぐらいになっているはずだ。右の写真で、レベルインジケーターのLEDが、どちらも4つ点灯しているのが、わかるだろうか。レベルメーターを信用すれば、音量は同じだ。評価用の小さいフルレンジSPなので、左右の音質差は、わからない。これから、メインSPにつないでみる。純A級アンプなので、2台の発熱は、結構なものになる。当然ながら、まず空冷ファンを準備する。
これが測定データだ。バイアスが落ち着くのは、最低でも1時間以上は必要なことがわかる。またSLC回路の出力は、2時間後に、1.852Vと-1.853Vで、左右差がほぼ無いのは、プッシュプルアンプのバイアス源としては、理想的な状態であることがわかる。0.001Vの差しかないのだ。安定度も申し分ない。これなら、メインSPにつないでも問題ないだろう。面白いことに、自作SLC回路を入れたほうが、プロテクター解除時間が短い。オリジナルは、プロテクター解除用のコンデンサがヘタっているのだろう。
ここで問題発生。XLR接続では、高域に盛大にノイズが乗る。散々試したが、このアンプは、きちんとしたゼロVレベルに対し、超直線増幅するアンプなので、バランス信号の片側を受け、1番ピンにバランスのシールド線をつなぐことは、原理上、無理のようだ。なので残念だがRCA端子に戻す。これは今回の自作SLCアンプの問題でなく、いじってないオリジナル機もノイズが出るので、アンプ自体の問題である。なかなか最後まで、むずかしいアンプだ。RCAでノイズが入ったら、どうしよう???
2026/6/11 音が出るが
結局、SLCモジュールのゲインは、1倍なのか、それ以外なのか?どうも回路図だけ見ていてもわからないので、信号発生器の1KHz出力を2分割して、自作SLC機とオリジナル機に入れて、SP出力電圧を測ってみることにした。オリジナル/自作=ゲインになる。その結果、ゲインは21.4倍だとわかった。これに近い値にするには、接地抵抗を49Ωにすれば良いが、あいにく1000ケ単位でしか買えない。仕方なく49.9Ω ゲイン21.04倍にすることにした。これなら1ケ単位で買えるし、思い切ってDALEのRN-55にした。左は入力、+出力、-出力が1本線になっているので、ゲインが正確に1倍だとわかる。中央がその時の回路で、右が1つ前だ。中央は、AC信号とDC信号を最適に働かせるため、AC信号のバイパスコンデンサを入れた。緑色はニチコンのMUSEで無極性電解C。さらに低域の信号を通すため、WIMAの0.1μF メタライズフィルムCを並列接続している。これで音声信号は、DALEの200Ω抵抗と500Ωトリマーを通らずに、ダイレクトにトランジスタに入力される。これで信号の減衰はなくなった。さらにオペアンプの反転増幅をやめたので、きちんとバイアスがかかるようになった。すでに実装は限界だが、これにさらに49.9Ωを実装しなくてはならない。次こそ、最後にしたいものだ。このアンプはセンターSPのJBL SK2-1000に使う予定なので、少々ゲインが違っていても問題ないのだ。AVプリとAPEQでいくらでも補正ができるからだ。SK2-1000は、スペック的には、普通だが、実際に鳴らしてみると、2発のウーハーは、しっかりとした駆動力が無いと鳴らないのだ。今は変則的に、SONYのプロ機とアキュフェーズA-20を、どちらもブリッジ接続してパワーを稼いでいるが、まだイマイチ、セリフが前に出ない。なのでこのM-Z1のパワフルな純A級サウンドがどうしても欲しいのだ。プロテクターは解除される。バイアスもしっかりかかる。音も出る。あとは、ゲインさえ合えば、完成なのだ。気がつけば、ハイエンドパーツが満載になっている。VISHAY DALE WIMA MUSES MUSE。これで良い音がしなかったら、どうしよう???
2026/6/5 回路変更
オペアンプの定数変更を行って、ピッタリ22倍のゲインに出来た。波形もバッチリ出ている。ついでに懸案だった発熱問題を解決するため、オペアンプ駆動を±85V電源から取るのをやめて、±13.4V電源から取ることにした。そのおかげで、塔のように立っていた3.3KΩ 5W抵抗が無くなり、ツェナーダイオードもなくなった。おかげでチンチンだったオペアンプも、触れるぐらいになった。と言うことは50℃以下に出来たと言うことだ。これによって、バイアスも早く安定するかと思ったが、そうではなく、同時に換えたMUSES8920とNJM072Dでは、ゲインが違うらしく、SLC出力電圧も再調整した。実機にないDCオフセット調整トリマーは、ぴったり200Ωに合わせて、いじらないことにした。と言うのは、最初から-16.5mVと優秀で、時間が経っても変動しないからだ。逆にDCオフセットをいじると、バイアス値が変わってしまうので、厄介だ。1時間以上経ってもまだバイアス値は上昇している。本物と同じような速さでは、バイアス値は収束しないようだ。なので、2時間以上連続で使用することは、ほとんどないが安全を考慮して、規定値:293mVに対し250mVで、調整している。今度は、ゲインも実機と同じになっているので、十分な音量で鳴るはずだ。もうやり始めて、3ケ月になろうとする40回まで設計変更は数えたが、もう50回以上は変更しただろう。シロートなので最初から、この形には、到底できなかったが、部品点数が少なくなったのは、良い変更の証拠だろう。さすがに、こればっかりやっているのも疲れてきた。今回で決めたい。やってみたら、また音が小さい。どうやらオペアンプのゲインは2倍で良かったようだ。では何故音が小さいのか?それは、回路図を勝手に解釈した自分の勘違いのようだ。ヒントは、この波形にあった。次回こそ、ガッツある音を出すぞ!
2026/6/4 SLC回路 バイアス調整
いよいよ本格的なバイアス調整に入る。スタート時のDCオフセットは、0.7mVで超優秀。自作のSLC回路は、本体のバイアス回路と連動動作し、バイアスを下げると、自動的にSLC回路のバイアス生成用電圧も下がる仕組みになっている。本来のバイアス値はTP間で293mVだが、個体の古さを考慮して250mVとする。これでも50W付近までは、純A級動作するのだ。LEDが点灯し動作開始。SLC回路からは、+1.938Vと-1.938Vが出ている。最後の数値まで同じということは、回路設計が正しく出来た証拠だ。スタート時でバイアスは142.9mV。このアンプはバイアスが100mVを越えたぐらいで、発熱が始まる。計算すると、出力段には、トランジスタ1ケ当たり、147mV流すようだ。これが12ケあるので、相当な熱量が放出される。本当に熱くなる。さて1時間以上経過したが、まだじりじりと上がっている。現在246mV。ほぼ目標値だが、ここからの微調整が結構大変なのだ。DCオフセットは、0.7から16.6mVになったが、40年前のアンプで、この値は驚異的だと思う。優秀なオペアンプのおかげか?最終的にバイアス値は、249.7mV DCオフセットは、-18.65mVになった。これならスピーカーにつないでも問題ないだろう。さて、どんな音が出るか?
試聴して、びっくり!蚊の鳴くような音しか出ないのだ。何で?どうやらオペアンプのゲイン設定を間違ったらしい。ゲインは2倍じゃなくて22倍だ。また開腹手術が必要になった。そろそろSLC基板自体も、やばそうな気がするが、このままでは使えないので、また頑張るしかない。なかなか完成しないものだ。やっとカッコよく2台並べたのに。また力仕事をしなくては。このアンプは前方にトランスを2台積んでいるので、見た目よりはるかに重いんです。中央の四角いのは、実はカバーをかぶった電解コンデンサが入ってます。ジジイには、この重さは、こたえます。ここで更なる安定を目指して回路変更をする。オペアンプ駆動源を±85Vから±13.4Vに変更する。これによって、3.3K抵抗とツェナーダイオードの発熱から、オペアンプが開放され、回路全体の温度ドリフトの影響も激減するはずだ。2台並べてわかったのは、オリジナルのほうが、早くバイアスが安定するのだ。この差はきっとオペアンプが、熱で暖まる影響もあると思っている。少なくとも3W近くの発熱がなくなれば、回路としては、すごく楽に動くはずだ。オペアンプ駆動のために±85V電圧に、こだわる必要はない。ここはちょっと面倒でも、やったほうがいいだろう。自作SLCモジュールは、せっかくのオープンモジュールなので、涼しく動作させたい。もっとも心配した初段のトランジスタは背中合わせにして、2時間たっても50℃に届かない温度にしかならない。この時、オペアンプは70℃になっていた。さすがに70℃は苦しいだろう。オペアンプ自体が仕事しているのでなく、抵抗とツェナーダイオードの伝導熱で温度が上がっているのだ。この対策で、この回路はもっと温度的な過渡特性は、良くなるはずだ。やってみよう!
2026/6/3 スーパーリニアサーキット完成
バイアスが、かからない原因をやっと突き止め、とうとう自作のスーパーリニアサーキットが完成した。いや~長かったわ。プロテクター解除で、じわじわとヒートシンクが暖まっていき、最後は触れないぐらいになる。さすが純A級は、発熱が凄い。まだきちんとバイアスを合わせてないが、規定値のTP間電圧:293mVは新品の値なので、劣化を考慮し250mVにしようと思う。自分の知る限り、日本でSLCモジュールと互換性のある回路を作ったのは、自分が初めてだと思う。普通に考えれば、樹脂で固められたモジュールは、修理できない。樹脂を溶かして修理するのは、余程の熟練者でなければ、やらないし、やれないだろう。自分もこのアンプの調子が悪いのを知った時には、「修理できないから、ジャンク品で捨てるしかない」と思った。でもサービスマニュアルとアンプ回路図が手に入り、さらに運が良いことにSLCモジュールの回路図が手に入ったことで、状況が変わった。こんなに大変だとは想像できなかったが、もしかして自分なら作れるかもと思って軽い気持ちで始めた。もともとジャンク品相当のアンプなので、壊してもいいや、と思えたことが良かったのである。SLCモジュールは四角い箱だが、内部にはぎっしりと当時の最新のパーツが詰め込んである。その名のとおり「超直線増幅」をするため、素子の選定、選別、入念な回路設計の結果、どこにも調整用トリマーを持たないモジュールとなっている。SLCモジュールの回路図を見たときは、「こんなにたくさんのパーツを手配線で、組み込むのは無理だ」と思った。同時に、今の技術を使えば、最小のパーツで、同じような性能が出せるのではないか?とも思った。SLCモジュールは初段をFETで受け、その後カレントミラー回路で電圧-電流変換を行い、信号の増幅とアイドル時のバイアス電圧を作り出す。同時に入力された13.4Vから4Vと3.2Vを作る電源回路も内蔵している。自分は、初段を2回路のオペアンプを使って、正相・逆相の信号を作りだすのと同時に、バイアス電圧を制御するフィードバック機能を持たせた。最初は、1回路のオペアンプの後に、なんちゃってカレントミラーを置いて、逆相出力を作りたかったが、何度やってもうまくいかず、間違いなく逆相が作れる「2回路入りオペアンプ」を採用することにした。ここで初めて、正相・逆相の波形が見られた。これで動くと思ったが、SLCモジュールは、アンプの出力段に与えるバイアス電圧の元を作り出す機能が必要なことがわかった。カレントミラー部をアイドル状態で動かして、正相・逆相の2Vを出さなくては、ならないのだ。ここが結構大変だった。最初は、入力もないのに、どうやってトランジスタを動かすのか、さっぱりわからなかった。そこで前段のトランジスタに専用のバイアス回路を付け、そこにLEDを実装することで、定電流化と点灯による目視確認機能を追加した。LEDを付けたことは、あとあと非常に役に立った。消灯していれば、動いてないことが一目で、わかるからだ。ここで、どういう条件でトランジスタが動き出すかを学んだ。またカレントミラーは、回路が大規模になり実装できないので、エミッターフォロワーバッファーアンプをつないで、出力することにした。この部分の前段をLEDで動かしているのだ。電源部は、最初13.4Vから分圧抵抗で、4Vと3.2Vを作った。電圧は思うような数値になったが、実際に動かしてみたら、トランジスタが消費する電力をまかないきれず、動かなかった。ここで電源回路を大幅変更し、±4Vと±3.2Vを個別に作り出す「独立4電源回路」を作った。この回路は1A流せるので、今回のトランジスタぐらいなら、余裕で動かせる能力がある。これで電源の不安はなくなった。ただしオペアンプは、±85Vを±15V前後に下げる必要があるので、凄く無駄な設計だが、3.3KΩ 5W抵抗で、必要な電流以外を熱にして捨てている。スペースがあれば、もっと違う方法も取れたと思うが、限られたスペースでは、使える駒も限られるので、仕方ないだろう。試験開始後、最後までアンプのバイアスがかからなかったが、本日、その原因がわかって対策したところ、めでたくアンプに火が入った。まだ少し調整が残っているが、アンプとして動き出したのは、間違いない。明日、再度、バイアスとDCオフセットを追い込んで、いよいよスピーカーをつないで試聴開始だ。本当に音が出るのか、不安でいっぱいだ。

2026/5/26 バイアスかからず。でもプロテクターは解除された。
とうとう実機に付ける時が来た。緊張の一瞬。ところが実機につけると挙動がおかしいのだ。初段にオペアンプを使ったのだが、どうやら電源ON直後の中点不安定領域に過敏に反応して、出力が片側に貼り付いているようだ。さらに逆相側のバイアスLEDが消えている。と言うことは、トランジスタが閉じており、規定の電圧にならない。規定の電圧が来ないから、アンプの出力段に火が入らない。ざっとこんな感じだ。もう50回以上、回路図を書き直しているが、どうも実機の回路図の読み取り方が甘かったようだ。でもここ数日で、プロテクターは解除されるようになった。過敏な特性を抑えるため、ゲインを設計値の2倍に戻した。これで中点が保持され、DCモレがなくなりプロテクターは解除されるようになった。プロテクターは解除後は、安定してLEDが光っており、不安定な動きはしていないようだ。さてバイアスがかからないのは、どうするか?だいたいのヒントは、つかんだので、やってみるだけだ。2ケ月かかって、やっとプロテクターが解除できるまでになった。ここまで十分、頑張ったと思う。あと少しだ。今の問題は、アンプ側が要求する電圧(電流)に対し、自作SLC回路の出力が足りてないことだと思う。なので再度、回路を修正することにした。もう何回も取り外しているので、自作回路も、だいぶ傷んできた。なんとか、ふんばって欲しい。
2026/5/20 PIONEER M-Z1 スーパーリニアサーキット完成
とうとう実機に載せられるレベルのスーパーリニアサーキットモジュールが完成した。アイドル時の電圧が正相:1.8V,逆相1.3Vとちょっと足りてないが、波形は、きちんと同じ電圧で出ているので、増幅は出来ているだろう。あとは実機側のトリマー調整に頼るしかない。赤いLEDが正常な明るさで点灯しているのは、初段のトランジスタに正しいアイドル電流が流れている証拠だ。もしこれで、実機のバイアス調整ができないか、プロテクターが解除されない時は、逆相側のエミッタ抵抗をトリマーに変更し、電流値を調整するしかないだろう。逆相側の初段トランジスタのエミッタ抵抗は330Ωだが、たぶん200~250Ωぐらいにすれば、ピッタリになるはずだ。トランジスタの増幅率は、正相側:118と125,逆相側:125と120で、掛け算すると14750と15000で、計算上は、逆相側のほうが高く出るはずだが、現実は違っていた。2ケ月以上かかったが、やっと出来た。あとは、火を噴かないで動いて欲しい。抵抗は、熱対策で余裕を持たせてあるので、計算上は、ほとんど発熱しないはずだ。では実機に付けてみるか。
2026/5/18 PIONEER M-Z1 スーパーリニアサーキット 本番機電源部完成
各部の電圧、ゲインの微調整を行い、やっと要求性能を満たすであろう回路が完成した。左のアイドル状態の出力電圧は、1.8~1.9V出ており回路図の指示は2Vなので、たぶんこのくらい出ていれば調整できるだろう。中央が信号入力:ピンク、逆相:黄色、正相:緑色だ。逆相はただしく反転しており、ゲインも2倍になっている。この2倍の解釈は、イマイチ自信がないが、入力ボリュームで解決できるだろう。本番用の基板を作り始めた。最初はスペースを取る±電源から始めた。何度かハンダ不良があったが、+4.06V、+3.28V、-3.33V、-4.09Vと規定の±4V、±3.2Vに対し、十分な精度で出力されていることがわかる。一度出来てしまえば、経年劣化しないが良い点だ。次は、コンプリメンタリーエミッタフォロアバッファー回路を製作する。発熱は、エージングで問題ないのはわかっているが、温度安定性を求めるなら、初段は背中合わせにして、ヒートシンクを付けたいので、そのスペースが取れるかどうかがカギだ。
2026/5/15 スーパーリニアサーキット試作機完成
1トランジスタ 1電源の超贅沢な回路のおかげか、やっと試作機が完成した。やっとわかったが、スーパーリニアサーキットは、恐ろしく複雑なことを調整レスで実現している、とんでもない回路である。実機のモジュールは開けたことがないが、回路図を見ると、どこにも調整用トリマーが無いのだ。つまり設計と部品の精度だけで実現しているのだ。これは想像するより実現するには、ずっと困難な方法だ。ただし出来てしまえば、どこにも不安定要素がないから、長い時間安定して動く。さらにモジュール構造を採用し、樹脂で固めてしまえば、日本特有の湿気の影響も受けなくて済む。良いことだらけだ。しかしこれを自作するには、険しい道のりだった。まず波形を入力したら、それをパワーアンプで使えるように、正相、逆相の信号に変換しなくてはならない。さらにこの回路自身が、A級アンプのアイドル設定を行う前段としての機能も兼ねるので、電源ONで常時ON状態になっていなくてはならない。さらにパワーアンプ部への必要な信号を2Vで供給、歪なく波形を2倍に増幅するなど、同時にいくつもの調整が本来は必要になってくる。55X58mmの面積の中でトリマーを何ケもぶちこむことは不可能なので、極力、試作機で抵抗値を追い込んで行かなくてはならない。今回は、初段のトランジスタを動作させるため、LEDを使った。これはLEDの定電流特性と光ることで視覚的に動作していることを確認するために使った。LEDが綺麗に光れば、トランジスタも動いていることになる。波形も綺麗に出ているので、あとはオペアンプのゲインを調整すれば、完成となるはずだ。専用電源のおかげか、トランジスタは、ほとんど発熱しないので、これなら無理な実装をしなくて良さそうだ。トランジスタに流すアイドル電流値の設定と、エミッタ抵抗値の選択がうまく行ったようだ。しかし専用電源は効いた。不安定な動くが一切でない。当たり前だが、専用化の効果は絶大だ。最初から、迷ったら困難な道を行けば、もっと早く完成しただろう。安易に単純な分圧抵抗を選択した自分が未熟だったのだ。もう少しがんばろう。
2026/5/3 PIONEER M-Z1 SLC回路設計 残りはバイアス値だけ
バラック機で、コンプリメンタリーエミッタフォロアバッファー回路がアイドル時にONするように、バイアス回路を付けた。スイッチングダイオードと定電流用LEDと電流制限抵抗を付けた回路だ。バラック機では、波形は綺麗に出た。ただし回路全体のゲインが高すぎるのが、アイドル値が高すぎることがわかった。なので少々細部を変更する。バラック機は、ちょうどいい抵抗が無かったので、オペアンプのゲインが本番機より高い。本来2倍の所、2.2倍ある。そのせいもあるが、全体のゲインが高すぎるのは良くない。これでもまだ高い場合は、DCオフセット調整用に入れているVISHAYの200Ω 0.1%抵抗をあきらめて、もっと高い1KΩまで上げるしかないだろう。実機と使っているトランジスタも増幅度も違うので、ここは合わせ込むしかない。だがここまでくれば出口が見えて来た気がする。動かないのでなく、動かしながらゲインを調整できるようにすれば良いので、今までとは、全然違う。ここからは本番機を再度改造して製作を続けて行こう。段々と自分なりに理屈も分かった来たので、なんとかできそうな気がしてきた。ここまででうまく行くはずだったが、どうやらアイドル時にトランジスタがONしていないことがわかった。トランジスタをONするバイアス回路が動こうとすると、本来トランジスタに4Vを供給する電源が、電圧降下を起こして動かなくなるのだ。どうやらこれは分圧抵抗で電源を組んだので、どこかで電流が流れればそれに足を引っ張られる回路だとわかった。結局、もっと強固な電源部を作らないと、動かないと言うのがわかった。実機は、定電流回路が入っているが、大がかりな回路はスペースが無いので、手作りでは実装できない。新たな方法を検討中。スーパーリニアサーキットは、本当に手強い回路だ。解決方法としては、車で言う1シリンダー1スロットルと同じで、1トランジスタ1電源という、とんでもなく贅沢な回路を3端子レギュレータで組むしかなさそうだ。これだとトランジスタ1つに対し、専用の電源が対応するので、他の電源に足を引っ張られることがなくなり、常に安定した電圧が供給できるのだ。まずは、これで動くかどうかを見て、動いたらどうやって実装するかを考えることにする。5/14 今日までに4つのうち3つの電源部は完成した。3端子レギュレータの性能は確かで、狙い値の±0.1V以内の電圧を出すことができている。これは分圧抵抗と比較すると雲泥の差だ。あと少しがんばろう。
2026/5/1 PIONEER M-Z1 プロテクター解除
やっとの思いで、組み上げて電源ON。カチンと言ってプロテクターが解除された。DCオフセットも-3.1mV。こりゃ行けると思ったが、音が出ない。何で?ヒートシンクが全く熱くならない。パワー段へは、±43Vが供給されている。プロテクターが解除されたと言うことは、パワトラは故障してないし、短絡もないことになる。となるとバイアスがかかってないことになる。チェックピンでバイアスを見たら、0.2mVしかない。あきらかに故障だ。やはり±85Vをショートさせた時、自作のSLCモジュールは無事だったが、ドライバー回路が故障したらしい。これで本格的なアンプ修理に突入してしまった。ガッカリ。まあ、煙が出なくなって電源が入るようになっただけでも、自分に取っては大きな前進だ。音が出ないことには、SLCモジュールが成功したのかどうかが、わからない。がんばって直すしかなさそうだ。

しばらく調査して、温度補償用ダイオードが怪しいと思い、自作してみた。これはすでに製造中止で入手できない。付けないわけにもいかないので、1N4148を使ってみた。純正は、足が真っ黒で数値的には、正常だったが、動特性が保証されるわけではない。1N4148はガラス管なので、そのままネジ止めはできない。そこで丸端子のスリーブ部に熱収縮チューブで包んで入れてみた。これなら、割れないし、そこそこ熱も伝わるだろう。交換してもバイアスはかからなかった。まさか、そんなはずはないと思いSLCモジュールの電圧を測定した。±85Vと±13.4Vは、規定通りきている。ところが、モジュールの出力がメチャクチャになっていた。単体では動いているのを確認してから組付けたのに、マイナス電源側がプラスになっているのだ。ひょっとすると、オペアンプだけが正常に動いていて、その後のカレントミラー部は、全く動いていないのかも知れない。それでもマイナス電圧が出ないのは、理解しがたい。やはり取り外して調べるしかなさそうだ。もう一つわかったのは、回路設計がオソマツでバイアス調整ができない回路だと判明した。まだまだ修行が足りないようだ。ただまだギブアップはしていない。がんばって改善してみよう。
2026/4/30 PIONEER M-Z1 ±85V電源部修理
煙の出た±85V電源部を修理する。本当に壊れていたのは正負のトランジスタとツェナーダイオード、スイッチングダイオードだけだった。煙が出たと思われる330Ω抵抗は、無事だった。本当はこのエミッタ抵抗は1/4Wなのだが、前回のオーバーホール時に熱が掛かった跡があったので2W品に換装していた。そのおかげで本来一瞬で焼き切れるはずだったのが、ふんばってくれて被害が広がらなかったのだと思う。ただし今回も熱が加わったので新品に交換した。あと省電力トランジスタも念のため交換した。残りのダイオードは無傷だった。きちんと一つ一つ外して点検したので、問題なく動くだろう。さて次は、SLC回路部の載ったAXX-002を見ることにする。

左が誤配線したAXX-002基板。右が正しい配線。左の場合、右側の2本が±85V電源線なので、85Vどうしをショートさせたことになる。このため電源基板が破損した。±85Vに調整できたので、正常な状態に戻ったことになる。また自作SLC基板は、取り外して再度信号を入れてみたが、きちんと波形が出て無傷だった。15Vのツェナーダイオードと3.3K抵抗は焼けると思っていたが、丈夫な回路を作ったものだ。AXX-002基板は、焦げ跡も匂いもないので、損傷していないだろう。さて、今度はじっくり眺めてから実機に付けてみることにする。再度オペアンプに供給される電圧を測ったら、+14.50Vと-14.45Vだった。従ってツェナーダイオードは生きているし、正常動作だ。これで±85Vが直接オペアンプにかかって、一瞬でオペアンプを破壊することは無かろう。問題は±85Vがどのくらいの時間で±15V付近になるかだ。これだけは、やって見ないと分からないが、ツェナーダイオードの特性上、±15V以上出ることは、故障時以外にあり得ないので、問題にはならないだろう。以前、15Vと16Vのツェナーダイオードを並列にすることも考えたが、故障モードがショートか非導通で変わってしまうので、採用をやめた。この回路にたどり着くのに、正確な枚数はわからないが30回以上回路図を書き直している。やっとそれっぽい動作ができる所まで到達した。あとは無事動いて欲しいものだ。もし無事に動いたら、もう一つやりたいことがある。それはRCAをXLRコネクタに換装したい。そうすると我が家ではRCAに変換せず接続が楽になるからだ。うちでは、どうにもならない場合を除き、接続はすべてXLRのバランス接続になっている。音が良いとか悪いとかが基準ではない。単純にロックがかかり抜けないからだ。またRCAケーブルだとHOTピンが露出しているため、以前誤ってWADIA2000ver96を壊してしまったことがある。短時間だからと、通電状態のままRCAケーブルを抜き差しした時、HOT側が本体に接触し、アナログ回路が燃えてしまい修理不能になった。それ以来、接続はバランスと決めている。
2026/4/29 PIONEER M-Z1 スーパーリニアサーキット完成したが
やっとスーパーリニアサーキットが完成した。いやー長かったな。きちんと正相、逆相の波形も出ているし、トリマー調整もできた。あとは実機に組み込んで動くかどうかだ。今回、トランジスタの増幅度をぴったり揃えることが出来なかったので、トリマーのおかげでなんとか調整できた。
絶対条件として実装できないと意味がないので、そこはしっかり検証し実装できるものが出来た。左が実装状態で干渉なく収まった。ついでに出力の負荷抵抗をPRPに換えた。この抵抗が雑味がなくスッキリとしていて好みだ。実装基板のすぐ下にある横置きの赤い抵抗がそれである。右のオペアンプの左側の黒い四角いものが何だが、すぐわかった方は、相当なマニアの方だ。これでVISHAYのVER超精密抵抗で、誤差0.1%である。どうせトリマーで調整するので、こんな高精度は必要ないのだがパーツが余っていたので使ってみた。もう1枚作ってから、実機確認するか、すぐに実機確認するか、悩むところだ。
緊張の電源ON。電源ランプ点灯。プロテクターLED点灯。良い感じだ。これでプロテクターが外れれば完成だ。ところが電源部から煙が出てきた!あわてて電源OFF。やはり一筋縄では、行かないようです。やれやれ。ちょっと調べたら、やはり±85Vの電源回路の抵抗が焼けていた。±13.4Vのほうは問題なさそうだ。考えられる原因は2つ。1つは今回作ったSLC回路に不備があり、±85V回路にダメージを与えた。もう一つは、最初から±85V回路に問題があった。だが過去を振り返ると、±85V電源回路はパーツ交換後に、±85Vがきちんと出ていた。と言うことはSLC回路のどこかに短絡か絶縁が低いところがあることになる。となると話は簡単ではない。単体の自作SLCは動いていたからだ。これは困ったぞ。まずは電源部を直して、それでも煙が出るようならSLC回路と言うことになり、あきらめるしかないだろう。と思ったが、原因がわかった。SLCモジュールを載せる基板の配線ミスがあったことがわかった。それも運悪く±85Vラインをショートさせた状態でハンダ付けしてしまった。と言うことはSLCモジュールと±85V電源の両方を壊した可能性が高い。最後に焦って確認せず、ハンダ付けしたことで招いた結果だ。反省!オペアンプも死んでしまったら、ガッカリだな。これからは、まず面倒でも安いグレードで試してからやろう。
2026/4/24 PIONEER M-Z1 SLC評価機完成
やり始まってから、1ケ月以上かかって、やっと評価機が完成した。時間がかかった理由は、スーパーリニアサーキットを正しく理解していなかったのと、同じものを作ろうとしたからだ。基板上に手配線で同じ回路を詰め込むのは無理だし、一番難しいのは、調整機構なしでDCオフセットを抑えることだ。名前のように超直線を実現するには、手配線レベルの精度では、到底無理だと途中で気が付いた。そこで実機より優れた部分は積極的に取り入れ、簡素化できるところは、可能な限り簡素化する。そして実機にはないが、DCオフセット調整機構も追加することにした。オペアンプは、J-FETのNJM072Dを使ったが、本番機では、高性能なMUSES8920に換装する。ピンクが入力で、黄色が逆相、緑が正相である。やっと逆相波形がまともに出たし、正相、逆相のゲイン調整もピッタリできるようになった。計算上のゲイン設定は2倍になっているが、これだと8倍ぐらいに見える。実機も2倍になっているので、まずはこのままやってみることにする。最初は、トランジスタの放熱が大変だと、ヒートシンクを実装したが、やっているうちにほとんど発熱は問題ないことがわかった。また初段を背中合わせに実装し、熱平衡を取ることも考えたが、それも必要なさそうだ。この試作基板で30分ぐらい信号を入れながら、エージングして温度上昇を見るのが、一番いいだろう。本番は±85Vでオペアンプを駆動するので、電圧調整用に入れる大容量抵抗の発熱だけが心配だが、これは実機でしか、評価できない。次はいよいよ本番機に載せられるように、実装しなくてはならない。今まで何度もくじけそうになったが、あきらめずに続けて良かったと思う。ここまでくれば、実機でも動くはずだ。
2026/4/16 PIONEER M-Z1 試作SLC回路 その後
分圧抵抗とカレントミラー部を、結合させたら波形が出た。但し何故か正相側が出なくなった。おかしいと思いトランジスタを取り出したら、4つのうち2つがダイオードモードになり故障していた。但し、どこが壊れていたのかまでは不明だ。よって最後の期待を込めて、大きな基板に回路図どおりに部品をならべ、トランジスタをソケットに付けて試してみることにする。これでダメなら、本当にあきらめることにする。大きな基板に回路図どおりにパーツを並べると、こんなにも配線が楽になるとは思わなかった。背中合わせで実装すると、本当にややこしくなって、自分でもわからなくなる。配線を表に這わせて、ハンダ面で接合すえうので、間違いがなくなる。

2026/4/13 PIONEER M-Z1 自作SLC回路 波形が出た
かれこれ1ケ月近くSLC回路と格闘して、やっと波形が出た。ただしまだ逆相が正相のまま出力されている。一番の原因は、自分の解釈ミスである。スーパーリニアサーキットとは、その名の通り、超直線回路なのだ。このリニアな動作を素子の性能だけで、無帰還で実現させていると思い、カレントミラー部の下流にある分圧抵抗部を単なる電源生成部と解釈したのが間違いだった。今までこの部分は、SLC部とは無関係だと思って通電してなかった。ところがそれが間違いで、通電しないとSLC回路が動かないことがわかった。通電したら、今まで出なかった逆相側の信号が出てきたのだ。ピンクが入力、黄色が逆相、緑が正相である。つないだだけでは正しい回路にはなっていない。分圧抵抗で作られた電源をカレントミラー部に供給し、これがバイアスの役目をするのだ。今までは、バイアスがかかってなくてトランジスタがONにならず、波形が出なかったのだ。さらにこの分圧抵抗部は、回路が巧妙でたすきがけになっている。プラスとマイナスに変動が発生した分を自動でキャンセルする仕組みだ。なので反応の速さが確保されれば、理論上は電圧は変動しない。まさに超直線動作になるのだ。やっと正しいであろう回路がわかったので、回路図を書き直して、回路接続を変更してみよう。何度もトランジスタの配置や向きを確認したが、波形が出なかった。出ないはずだ。動くように作らなければ波形など、出るはずがないのだ。これでまた一歩前に進める。波形が汚いのは、気にする段階ではない。いろんな電源やら測定器をつないでいるので、波形が汚いのは当たり前だ。まずはきちんと波形を出すことが先決だ。

2026/3/26 PIONEER M-Z1 スーパーリニアサーキット製作開始
やっと回路設計が固まったので、製作を開始した。最初の難関は、元のピンと同じ位置に、ピンヘッダーを立てなくてはならない。基本的には、2.54mmピッチなのだが、正確には少し違うようだ。そこでピンヘッダーを長めにして、斜め入れが可能にした。ところがこのピンヘッダーがクセもので、大抵はコンタクト長が5~6mm程度しかない。今回のようにコンタクト長が11.5mmもあるものは、簡単には手に入らないのだ。あっても凄く高い。やっとの思いで何とか買える値段のものが見つかった。今回は、まず±13.4Vから±3.2Vと±4Vを作る抵抗分圧回路を実装してみた。ここは無調整なので全て抵抗は1%品を使った。容量も1/4Wで十分なのだが、1/2Wにして余裕を持たせた。安定化電源を2台直列につないで、±13.4Vを供給して、電圧を測ったら、0.05Vぐらいの誤差に収まっていた。非常に優秀。ここまでは、出来て当然だ。ここからいよいよ高密度実装に入る。
あれから2台作ったが、どうしても逆相が出力されない。スーパーリニアサーキットは、正負が正しく動作した時にしか、出力が出ない回路なので、原因を追究するのも大変なのだ。なのでまずは動くものを作るため、熱結合は無視して、回路図どおりに部品を並べ、本物と同じサイズに作るのは、一時中断することにした。回路図どおりにパーツを並べれば、誤配線のリスクは大幅に減る。さらにトランジスタをソケット方式にして、トランジスタの有無と交換が出来るようにする。ここまでやってできなかったら、あきらめることにする。もう1台の動く方の部品取り機にするしかないだろう。
2026/3/19 PIONEER M-Z1 SLC回路設計
回路図を21回書き直して、ようやくそれっぽいのが出来上がった。一応、論理不一致はない。SLCモジュールをそのまま再現するのは、到底無理なので可能な限り簡略化した。要は動けばいいのだ。回路は実機と同じようにFETで受け、その後カレントミラー回路で、パワフルな駆動力を得て出力する考え方は踏襲している。58X56X30mmの中に詰め込むには、実装は厳しいし、±85Vを扱うので、間違ってもFETにそのまま入力されるようなことがあってはならない。また実機のように無調整で済ませるのは、難しいだろうから、トリマーを追加した。さらに出力段に高電圧が出ると、パワトラが飛ぶので2V以上が、かからないような回路も追加した。回路は固まったので、トランジスタを選別してみた。NPNとPNPのhFEを測定したら、結構揃っていたので、問題なくペアが組めそうなのは良かった。とにかく基板が小さいので、本当に配線できるか不安である。
2026/3/17 PIONEER M-Z1 修理11 SLCモジュール
スーパーリニアサーキット:以下SLCモジュールが故障原因と判明した。これを修理できるかの可能性を見るため、取り外してみた。マークレビンソンのLNP2から流行り出したモジュール構造は、一世を風靡した設計手法だ。モジュール構造は、ソケット方式なら、故障時モジュールごと交換すれば、すぐ直るのがメリットだが修理代が高くつく。ましてこのようにハンダ付けされていては、面倒極まりない。樹脂を溶かす方法もあるが、リスクが高すぎる。モジュール周りの電解Cはすべて交換した。ずいぶん小型になった。これで放熱性は、確実に向上する。これまで主要パーツを交換したが、モジュールまでダメだったとは、最悪な個体を入手してしまったようだ。46年も前の製品だ。電源が入るだけでも、凄いことだ。基本は、しっかり作ってあるのだ。
ほとんど知られていないのが、こちらの写真だろう。合計12本のピンで接続されている。中身の回路は公開されていない。自分はあるルートから内部の回路図を見せてもらった。サービスマニュアルの回路図は概念図なので、設計資料として不足している。回路図を見たなら作れるだろう、と思うかも知れないが想像以上に高密度設計になっていて、とても手作りできるレベルではない。でもこれがないと音が出ない。なので自分なりにSLCモジュールを作ることにした。オリジナル回路に忠実なものは作れないが、簡素化しオリジナルより部分的には高性能を目指す。すでに回路設計は完成し、配線、実装設計に入っている。問題は58X56X30mmの中に詰め込まなくてはならないことだ。自作なので、当然、開放型ディスクリート基板になる。良い点は、すぐに修正できるのと、放熱性が上がることだ。また当時と違ってパーツも小型化され、同じ寸法でも耐圧を上げられたり、当時のトランジスタより性能が良いものが使える。本家は、パーツ性能だけでDCオフセット調整を無くしている(厳密には、そうでない)が、そこまでパーツを選別する余裕などないので、DCオフセット調整機能は追加する。あとはオリジナルと同じ考え方で作ってみる。うまく動いたらM-Z1は、スクラップにならなくて済む。なんとかあのパワフルな音を復活させてやりたいものだ。
2026/3/16 PIONEER M-Z1 修理10 原因判明
スーパーリニアサーキット:以下SLCが原因かどうか特定するため、バイアストリマーの上流にあるD7:温度補償ダイオードのアノード側の信号変動をデジタルオシロで見てみることにした。この部分はSLCからの信号が通る所である。厳密に言うと下流のオペアンプからのDC検出のフィードバックがかかっているが、オペアンプは4580DDに交換済みのため、故障のリスクは小さい。さらに入力ショート状態にすれば、本来、無信号なのでD7の電圧変化は微小なはずだ。結果は、以下の通りで、電源ONで1V以上のフラツキ、約10s後、保護回路が解除されザーザー音が発生。約20s後にフラツキがなくなると音も消えた。なのでSLC回路の故障で間違いないだろう。となると根性でSLCモジュールを自作するしかないようだ。

2026/3/15 PIONEER M-Z1 修理9 闇は深い
AIと対話しながら、原因を探っているが、とうとう壁に当たったようだ。どうやらスーパーリニアサーキットが故障しているらしい。オペアンプを交換後、バイアストリマーも交換した。トリマーの接触不良でノイズが出ているものと想定したが、どうもそうではないようだ。トリマーを交換しても、ノイズは直らなかった。となると初段の熱平衡が落ち着くまでノイズが出るのでは?と推測するのが理に適う。ところがスーパーリニアサーキットは門外不出の虎の子回路で、概念図はあるが、詳細な回路図は公開されてない。作った人も見つからない。さらにピッチで固められているので、簡単には修理できない。さあ困った。スーパーリニアサーキットを自作するか?ジャンク品に手を出すかだ。だが自分のようなシロートが回路図を起こして、実装できるレベルにまで仕上げることができるのだろうか?回路の中身はなんとなくわかっては来たが、難解な回路であることは間違いないし、小さな箱に入れる実装はさらに困難だろう。
2026/3/12 PIONEER M-Z1 修理8 問題発生!
パーツが届き電解Cを実装した。中には特注パーツもあり、入手できないものは105℃に置き換えて交換した。左下の黒い電解Cが2本立っているものは、本来ガラスケースに入った4ピンの特注品でなるが、何とか実装した。中央の85V基板も電解Cが小さくなっているのが、わかるだろう。右の整流回路は、ダイオードの耐圧を上げ8本交換した。

元どおりに実装して、電源ON。今度はぴったり±85Vに調整できた。故障原因は、ツェナーダイオードとトランジスタの短絡だったが、そこだけ直しても、周りも劣化しているので、自分は故障個所だけのパーツ交換と言う修理は、やらない。今では大手もやらないが「予防保守」が修理の基本だと思っている。なので、使えるトリマーを多回転式にしたりするのは、当たり前の作業になる。約15分ほどでヒートシンクは60℃を越える。正常なバイアスがかかっていれば60~75℃の範囲で安定する。
わくわくしながら、試聴を開始すると問題が発生した。購入した時「まれにノイズが入ることがあります」と書いてあったが、気にしてかなった。ところが、まれではないのだ。電源ON、約8sで保護リレー解除。ここまでは正常動作だが、リレー解除と同時にザザーと盛大にノイズが入り、7sぐらい続くのだ。その後は、ウソのように、ノイズがなくなりパワフルなサウンドを聴かせてくれた。メーターを見ると1~3Wもノイズが出ていた。まずは保護回路周りの電解Cの容量ヌケを対処する。次がハンダクラックが1つあった。最後がNJM4558Dの足が真っ黒になっている。これは4558DDに交換しよう。

これがドライバー+保護回路基板だ。黒い電解Cは、ガラスケースに入っている特注品。中央の四角い黒い箱がスーパーリニアサーキット。マークレビンソンのML等のプリと同じモジュール構造になっている。しかもこちらはハンダ付けされているので、手も足も出ない。壊れたら、このアンプは終わり。しかも85Vと言う高い電圧で駆動されている。とりあえず見えている電解Cは全部交換する。電解Cは小型になり放熱性は向上するし105℃にする。電源供給用のコネクタも、劣化して汚れている。オリジナルにこだわって、故障のリスクを背負うより、自分は安定と長寿命を優先する。右が8ピンのオペアンプ 4558DX.良く見て欲しい。足が真っ黒なのだ。これは、相当劣化しないとここまで黒くはならない。ほかのトランジスタの足は綺麗なので、設計上この石に負荷が、かかるのだろう。またDIGIKEYにパーツを注文した。アメリカのほうが、1ケ売ってくれるし、たくさん買うと送料が無料になる。しかも仕事が早い。日本の業者は、種類が少ないし、最低注文数量のしばりがあり、無駄が多いので使わない。
いろいろ調べたら、バイアス調整用トリマーの上下に直列に入っている「温度補償バリスタダイオード STV2H」が劣化していると、ノイズの原因になるようだ。これはヒートシンクにネジ止めされている。一番の要因はトリマーなので、これも合わせて交換する。STV2Hと同じものは国内では入手できそうにないので、UF1004と言う高速ダイオードを2ケ直列につないで、温度補償ダイオードを作ることにする。古いアンプを維持、生き返らせるのは、なかなか根気のいる作業だ。温度補償は、スーパーリニアサーキットの外側にもSTV1Hが2ケ付いている。これは、STV2Hに直列に接続されている。つまりヒートシンクの温度とスーパーリニアサーキットの近傍温度をトリマーに入れて、バイアスが温度変化で一定になるように制御しているのだ。これが壊れると熱暴走して出力段が壊れるので、ここは40年選手だし交換したほうが間違いない。これが予防保守だ。
2026/3/5 PIONEER M-Z1 修理7 電源回路
+85V側の電源回路が、故障しているのがわかったので、修理する。今回は故障していた2SA968,2SC2238をドライブする2SA905と2SC1915を交換する。耐圧が不足しているのは明白なので、それぞれ2SA1145,2SC2705の耐圧150V品に交換する。見た目でわかるが、高さが高くなっている。取り外した2SC1915のhFEは205,266,160 2SA905は76,258,325だった。普通に考えると160と76は異常だろう。同じく2SC2705は136,149,190 2SA1145は108,113,113と良く揃っている。今回はコスモ電子さんから購入した。ここは一般ではなかなか手に入りにくいパーツを1ケから安価で購入できるので、非常に助かる。どこかの大手パーツ屋は最低5ケとか10ケからしか購入できないと言う殿様商売をやっているので、結局は使わなくなるのだ。変色していた330Ω 3W品は330,332Ωで問題はなかったが、熱的につらそうなので、W数を上げて交換する。あとはDIGIKEYからコンデンサ類が届けば完了だ。
2026/3/3 PIONEER M-Z1 修理6
電源部の電解Cが届いた。もう入手できないELNAのオーディオグレード 12000μF 63Vだ。実測でφ35 H50だ。容量を測定したら11.17,11.26,11.46,10.7,11.41,11.34,11.89,11.29mF。平均は11.32mFなので、良く出来ているほうだろう。これを実装するか、どうかはまだ結論が出ていない。もし失敗したら、鉄クズになるし、音が気に入らなかったら、このままなら売ることもできる。今日は久しぶりにSTUDER D730 → CELLO ENCORE1MΩ → ENCORE POWER MONOⅢ → CELLO STRADIVARI LEGENDを聞いてみた。テクニクスのSU-C3000をバッテリードライブした時のSN感、静寂さは素晴らしいものがあるが、CELLOが聴かせる音は、独特の空気感というか説得力というか、SNやスペックを越えた所にある存在を感じた。音の純度だけでは、語れない要素とは何なのだろう。それが個性なのかもしれない。余韻や音の消え具合は、SU-C3000のほうが綺麗に分解して聴かせてくれるが、CELLOのほうが訴えかけてくるエネルギーが多いのだ。オーディオとは、つくづく深いものだと思った。

今回、N801の高域用SPケーブルをカルダスクアドリンク5C 3mからトランスペアレント ミュージックウェイブスーパー 2.4mに変更した。トランスペアレント のスペードのほうがカルダスよりも大きく、アキュフェーズ PRO-20にもN801にも問題なく接続できた。カルダススペードはPRO-20には、そのままでは内幅が狭く固定することが出来ない。トランスペアレント のSPケーブルは初めて使ったが、非常にワイドレンジでどこまでもフラットだ。解像度もエネルギー感も申し分ない。カルダスは、中域に少しクセがあるな、と感じさせてくれる。ややもすると、平面的で面白味の無い音になってしまう危険性もあるが、クセがないので、自分の音を追求したい派には、ピッタリだと思う。中央にある「子亀」は結構大きくて重い。ただの重しでは、なさそうだ。ボーカルのサシスセソが、きつくならないので、歌い手の表情が良くわかる。定価は21.7万円もするらしい。ハイファイ堂さんのおかげで、安く買えました。またカルダスと違って、ケーブルがプラスとマイナスの1本づつになる部分が長いのが良い。自分はMC252をブリッジ接続で使っている。この場合、左右のプラス端子同士を接続するが、カルダスは短いので、使えないのだ。今はゾノトーンを使っているが、いつかは低域用もトランスペアレントを使って見たいものだ。きっと新しい発見があるだろう。クセの無さにはまると、抜け出せない魅力があるケーブルです。

2026/3/1 PIONEER M-Z1 修理5
昨日は、電源部の12000μFのコンデンサ交換を断念しようと思ったが、何とか実装できそうなものが見つかったので、購入することにした。12000μFで耐圧が50→63Vに上がっている。メーカーもELNAでオーディオ用だ。残念ながら85℃品だが、1ケ710円なので文句は言えない。大きさはφ35でH51だ。端子はスナップインでピッチ10mm。うまく実装できるといいが。今日は、整流用ダイオードを交換した。足が真っ黒なので、交換すべきだろう。交換部品は、3DL4 400V 3A→1N5408 1000V 3A、10E2 100V 1A→AL01ZV0 200V 1Aにそれぞれ耐圧アップした。少しでも放熱させるため、基板より浮かせて実装した。これでレギュレーション性能は、設計値に近づくだろう。パーツは小型になっても、性能は上がっている。これは初段用の±85Vと制御用の±13.4Vを作っている大事な部分だ。パワトラは±37V で駆動されていて、ダイオードはKBPC10-02 200V 10Aで。こちらは端子も綺麗なので交換しない。ネットで2ケで4800円で売っていた。今なら同じサイズで50A品が500円で買える。
ついでに出力リレーを見て見る。リレーの接点の劣化イコール使った回数に比例するので、接点を見ると機器の状態がある程度わかる。黒くなっているが、接点自体は平らで全く問題ない。これなら磨くだけで十分使えるが、互換品があるので、交換する。OMRON製でこちらのほうが、容量が増えている。以前、サンスイのB2301Lのリレーを見た時は驚いた。このリレーと同じようにツインバー式だったが、片方が完全に溶け落ちていて、片方だけで動いていた。こんな状態でもちゃんと音は出ていた。ハイパワーアンプのリレー接点は酷使されるのだ。このアンプはA級60Wなので、B2301Lほどの大電流は流れないだろう。念のため、リレー動作用の100μF 35V 85℃の電解CもVISHAYの105℃に交換した。あとはパーツを注文して、85Vの電源基板を修理して完了の予定だ。12000μFの電解Cの交換は悩む所だ。φ35で入らない場合、実装がすごく難しくなるからだ。
2026/2/28 PIONEER M-Z1 修理4
長年M-Z1の電源部の電解Cを交換したと言う記事を見たことがなかった。今日、その理由がわかった。なんとコンデンサ自体が特注品で市販品は全く互換性がないからだとわかった。筐体を上から見て、前側2つに電源トランス、その後の同じような黒い箱自体が実は電解Cだったのだ。たぶん、本邦初公開だろう。容量は12000μF 50Vが4基ついている。中央がネジ端子で、周りのネジを外せば見慣れた円筒形のコンデンサが出てくるものと思っていた。しかし全く違うのだ。なんとネジ端子には、アルミ電極が直接ハンダ?付けされていて、アルミ箔はなんと樹脂をくり抜いた円筒形の中に直接入っているのだ。つまり見慣れた円筒形のケースはなく、裸状態で格納されているのだ。密閉はネジ端子の周辺のネジでフタをしているだけだ。これで液漏れしていないのが不思議なくらいだ。よって、どうやっても市販のコンデンサをそのまま取り付けることができない。なので、誰も交換しない。なので記事が1つもないのだ。ネジに何でネジロックが付いているのか不思議だったが、液漏れしないように緩み止めをしていたのだ。簡単には交換できないので、容量を調べたら13000~134000μFだった。いつもなら交換するが、良いアイディアが思いつかないので、このまま使用する。覗いたらセパレーターは湿っていたので、まだドライアップはしないだろう。パイオニアさん、このアンプがこんなに長い間使われるとは思っていなかったのか、音質最優先で特注パーツにしたのかは、もうわからない。いやいやエライものを見てしまった。組んでしまったが、もう一度バラして、ネジロックを塗布することにする。ヒートシンクの直近に電解コンデンサを配置するしかなかったため、熱から守るにはこの方法しかなかったのかも知れない。現代の技術なら105℃規格が使えるので、むき出しでも問題ないだろう。
2026/2/27 PIONEER M-Z1 修理3
片側はまともだったので、もう片側を見てみる。こちらは、マレにノイズが入る、と言うものだが、どんなものか。最初にDCオフセットだが、回路は動いているようだが、0.2~4.4mVぐらいをふら付いている。これは怪しい動きだ。つぎにB電圧を測定すると+側は89.3Vで、いくら調整しても85Vに調整できない。-側は85.3Vでなんとか調整できた。+側のトリマーをいじっていると90Vぐらいで何度も保護回路が動作してリレーが落ちる。バイアスだけは、0.385Vを規定の0.295Vに出来た。あきらかに電源回路が故障しているようだ。電源を入れるとピークメーターが大きく振れるので、ノイズも出ている。小さい筐体に、パーツを詰め込んでいるので、整備性は最悪だ。WADIA-WT2000sと同じような構造だ。天板、底板、側板を外してやっとAWR-208-Dの電源基板が出てきた。見た目に損傷部品は見えない。
まず怪しいのは、85Vを作りだすための基準電圧を作るツェナーダイオードだろう。ここはMZ-140と言うツェナー電圧14V 1Wのものを直列で使っている。ここは本来39.4Vだが43.5Vと大幅に上昇している。これは要交換だ。その先のトランジスタ:2SA968を見て見る。対アース電圧で、E:106.5V、C:91.1V、B:91Vと明らかにおかしい。ベースは本来103.4Vなくてはならない。これは内部ショートしている可能性が大だ。取り外してみると、やはりショートして単なる抵抗になっていた。サンスイC2301,B2301Lを修理した時、このトランジスタはペアで大量に買っておいたので、交換することにした。さらに良く見るとベース抵抗の330Ω 3Wが変色している。写真右側の磁器スペーサの上にあるほうだ。このアンプは設計がギリギリで2SA968の周辺のトランジスタが耐圧120Vを使っている。ここには104V流れるので、ギリギリで余裕がない。2SA905→1145、2SC1915→2705にそれぞれ耐圧150Vに交換する。ついでにヘタっている電解Cも全数交換。長い旅になりそうだ。
2026/2/24 TECHNICS SU-C3000 メンテ2
まずはメーターの照明をLED化する。マッキントッシュ用の14V両極LEDをハンダで取り付け、熱収縮チューブを被せる。色合いはいろいろ試した結果、オリジナルに近い黄色のゴムキャップを被せることにした。オリジナルは緑色のキャップを被せているが電球なので、点灯すると黄色っぽく見えます。これを元の位置に取り付けて完成。
次は音質の要、オペアンプを交換する。オリジナルのNJM4580DD→LME49720NA、OP-271GP→MUSES02、ラインバッファー:AD SSM2142→DRV134PAへと交換した。いづれもハイスピード、ハイレスポンス、広帯域、高SNを狙ってのチョイスだ。これを金メッキの8ピンソケットに交換した上で、実装する。万一、発振したときの保険だ。実装して気づいたが、MUSES02は音質にこだわって設計されたとあって、足の材質が違うようだ。明らかに柔らかい。なので組み込みは慎重に行う。オペアンプはクラスAA動作すると書いてあるので、エージングが必要だろう。
さらに要所の電解CをVISHAYに交換する。整流用ダイオードは、全数100V 1Aのショットキーに交換した。メーターの照明も良い感じになった。LEDらしくない、フワッとした雰囲気のほうが、この機種には合うだろう。
これでメンテは完成だ。本来ならチャージ電圧調整も実施すべきだが、治具の準備が間に合わなかったので、実施しなかった。まあバイアスじゃないので、多少ズレていても、壊れることはあるまい。緊張の電源ON、何事もなく数秒でリレーが外れ、スタンバイ状態になった。ACモードでチャージするし、DCモードで音も出た。ボリュームを上げても発振してないので、機能は正常に出ているようだ。コンデンサもオペアンプも新品なので、今晩はACモードで充電し、素子に通電しエージングをかけ、明日、本格的に聴いてみようと思う。今まではWADIA2000に、シナジスティックリサーチのACマスターカプラーをつないでいたが、もう1本手に入ったので、WT-2000sにもつなぐことができるようになった。これでハイスピードでキレのある音に、磨きがかかるはずだ。さてSU-C3000は、持ち前のSNの良さに、力強さ、スピード感は備わっただろうか? 明日の試聴が楽しみだ。

結論から言うと、オペアンプ、電解Cを交換しても、音は激変しなかった。自分が思うに、トランジスタアンプの音は7~8割が回路設計で決まり、あとはパーツの選定や筐体構造などで決まるものと思う。試聴すると、低域の充実度や余韻の消え方などの表現力が良くなったので、良しとしよう。まだ2時間使っただけなので、エージングで少しは変わるかもしれないので、気長に聴いてみようと思う。物としては、なかなか良くできているので、じっくり取り組みたい。
2026/2/14 TECHNICS SU-C3000 メンテ1
ほとんど情報がないSU-C3000なので、なるべく詳しく解説しよう。まずは全体構成から。発売が1999年とすると27年前のものとなるが、電源トランスから凝っている。この時代でなんとRコアトランスを使っているのだ。バッテリーを積むに当たって、EIコアやトロイダルも検討した結果の採用であろう。今でも高価なトランスをこの時代に積んだのは、決断が要ることだったろう。しかもトランスと電源部は、しっかりシールド板で区切られている。各部はコネクタ接続で整備性は良い。基板は、トランス部に1枚、電源部一体のメイン基板が1枚、ボリューム単独で1枚、出力-バランス変換部で1枚、バッテリー制御で1枚で、すべてガラスエポキシ基板+金メッキだ。電源部の電解Cは、銅板が頭に貼ってあるよう見える。これが特注の竹コンデンサなのか?

Rコアは、自社製かどうかは不明。電源部の構成とパーツはC7000と同じに見える。一番右の電解Cが熱の為かケースが下がっている。バランス受けにトランスを使い、バランス出力は、AD SSM2142のバランス変換アンプを使っている。青いケースは高見沢製のリレーで、RY24W-OH-Kだ。CELLOのENCORE 1MΩには、RY24W-Kが使われている。ここで「OH」が入っているほうが高品質で、金パラジウム合金に金メッキしたもの。すべてOHを使っているのには恐れ入った。
メイン出力は、オペアンプを2つ使って「クラスAA」動作としている。NJM4580DD+OP271GPを使っているが、現在では平凡なスペックだ。ボリューム回路にも同じものが使われている。ボリューム回路には、特注の黒いケースに入った4700μF 6.3Vの電解Cが使われている。このアンプは、バッテリー駆動時に真価を発揮するが、イマイチ音楽が平面的に聴こえるのだ。その理由を考えた時、増幅回路に使われているオペアンプの性能にあると思う。どちらもクリアで正確な音が素性のようだが、立ち上がりの鋭さや解像度ではイマイチと思う。そこでNJM4580DD→LME49720NA OP271GP→MUSES02 SSM2142→DRV134PAに変更してみようと思う。現状よりクリアで立ち上がりの鋭い音を狙い、音楽の立体的な表現を期待しての選択だ。さらに主要な電解Cは全てVISHAYに交換する。オペアンプは直付けなので金メッキソケットを付けて、うまく行かなかったら元に戻せるようにする。素性はしっかりしたアンプなので、きっと良い方向に変化してくれるだろう。MUSES02は、結構高額だ。オークションなら1750円程度で中古が手に入るが、正規品は3400~4000近くする。IC関係で17000円ほど、電解Cで9000円、合計26000円の投資だ。
細かい所では、電圧計の12Vランプをマッキントッシュ用の両極LEDに替えようと思う。元はランプに緑のゴムキャップが被せてあるが、イマイチ暗いのと緑色には見えないので、もっと明るい色のキャップを被せてみようと思う。照明ON-OFFスイッチがあるので、明るすぎても問題ない。新バッテリーに交換したが、無事満タン充電に成功し充電回路が自動停止した。たぶん13.5Vを指すはずだ。このバッテリーの一番良い使い方は、フル充電したら11.5Vに下がるまでDCモードで使い続け、ACモードにして充電してやることだ。ちょこちょこACモードで使うのは、良くない。バッテリーの寿命は充電回数で決まるのだ。回路上は10.5VでACモードになるが、10.5Vだと深放電に近くなるので避けたほうがいいと思う。コヒレンスも11.4VでACモードになる。DIGIKEYには、あと178ケ在庫があるので、もし改造が成功したら、もう1セット購入しよう。やってみないとわからないが、このアンプは、たぶんPHONO入力時にDCモードで使うのが、一番効果が出ると思う。アナログは増幅率が一番高いしノイズ的にも不利だ。しかしMCヘッドアンプにマークレビンソンのJC-1DCを使い、プリにC3000を使えば、ノイズフリーな環境が作れるのではないか。JC-1ACも持っていたが、DCとは比較にならない。無論JC-1ACもそれだけ聞けば素晴らしいのだが、JC-1DCを聞いてしまうと元には戻れない。そのぐらいSNには差が出るのだ。乾電池駆動で、液漏れの心配もあるが、音質はメチャクチャ素晴らしいのだ。しかいこれだけのアンプが受注生産で35万とは信じがたい。今なら2倍でも作れないだろう。受注生産品なので、絶対数が少ないので使っている人も少ない。なので情報が無いのは、当たり前だろう。バッテリードライブは、本当に貴重な技術財産だと思う。
基板を取り出してみた。良く考えられた構造だ。入出力は全てリレーのロジックコントロールで信号距離は最短になるよう設計されている。驚くべきは、裏面側。ジャンパーが1本も飛んでないのだ。相当時間を掛けて、練りこんだ結果だ。良い仕事をしている。ご自慢の電解Cを測定してみた。10mFはまあまあだったが、3300μのほうは、ケースが下がっているほうより、まともなほうがより容量がアップしていると言う結果になった。どちらにせよ劣化しているのには、違いない。
2026/2/12 TECHNICS SU-C3000がやってきた!
待望のSU-C3000が届いた。どうやらワンオーナー品らしい。めちゃくちゃ美品、艶もありホコリもかぶってない。大切に使ってたんだろうな。機能的な問題はなさそうだ。抵抗回転型のボリュームもネバリのある感触で良い。このアンプはDC駆動だがそれだけでなく、アキュフェーズが開発する遥か以前に、アンプ自体のゲインを変えることで音量調節する方法を採用していたのだ。なのでボリューム、アンプ、使用する電源と、物凄いこだわりで設計されている。見えないがシャーシもゴムを挟み込むなど、金もかけまくっている。

早速気になるバッテリーを見た。これがビックリ!なんと端子がハンダ付けなのだ。しかもハンダ付けの熱でケーブル被覆も焼けてしまっている。毎回、ケーブルを外して付け替えるようなことをメーカーはしないので、コネクタ+ケーブルは使い捨てだったと想像する。なんともったいないことを。自分は、そんなことはせず、金メッキのファストン端子を圧着した。うれしくて完成したバッテリーの写真を撮り忘れた。当たり前だが、交換用バッテリーの寸法は、オリジナルと同じで実装の問題はない。
これが入手できないコネクタ。いくら調べても型番すらわからない。めでたくバッテリーが完成しアンプの中に入れて、充電開始。肝心の音だが、ACモードでは、これと言って不満の無い音だ。レンジも広く普通に聴ける。解像度もまずまずだが、これと言ってつかみどころのない音だった。充電完了でいよいよDCモードだ。ネットの記事で、DCモードにしても、その恩恵は少ない、ようなものがあったが、そんなことはない。抜群のSN感だ。雑味が全くない、静けさに包まれるのだ。これがバッテリー駆動の凄さか。またバッテリーにすると低音がグンと沈んでくる。これがまた素晴らしい。ボーカルも空中にフッと浮かび細かい表情が見えるようになる。これは、本当に隠れた名機だわ。ただしバッテリーにすると、celloのような超微粒子サウンドになるかと言うと、そのような変化はしない。やはりcelloの音はcelloにしか出せないのだ。バッテリーモードは新品で、6時間聞けるらしい。自分はせいぜい2時間ぐらいしか毎日聴かないので、当面、バッテリーはヘタらないだろう。これはなかなか使いこなしが楽しいアンプだ。こうなると、JEFFのコヒレンスがどれだけ凄いのか、体験したくなる。
2026/2/9 TECHNICS SU-C3000のバッテリーが届いた
先日注文したSU-C3000用のバッテリー:PS-1220F1がもう届いた。本当にデジキーの配送は素晴らしい!しかも今回はアメリカから国内配達もしてもらって送料無料なのだ。本当に助かる。バッテリーはきちんと充電状態で届いていて、13.0Vと13.1Vだった。SU-C3000は、13.5Vでフル充電、10.5Vで下限電圧になり充電モードになる。ただしコヒレンスの電源部を自作するために設計資料を集めていたら下限電圧は10.5Vでは低すぎて、11.5Vぐらいを下限としたほうが良いようだ。事実コヒレンスは11.4VでACモードに切り替わるようになっている。SU-C3000には電圧計が装備されているので、11.5Vを目安に手動でACモードに切り替えるのが良いだろう。まずはバッテリーで動くかが問題だが。

2026/2/9 PIONEER M-Z1 修理2
早速天板のカニ目ネジを取り外す。ケイバのマイクロヤットコ MY-636を使った。ただこれでも先が太く入らないので、先端を削って対応。見事に回った。ピンセットでも出来そうだが、細く剛性がないので曲がるだけだ。カニ目ネジはM3だったので、6アナボルトに替えても良いだろう。天板を外したら、ホコリの凄いこと。これで良くショートしなかったと感心した。
ここで通電し、電源ランプの点灯を確認。やはり切れていた。オリジナルは電球で8V 50mA仕様。電球だとまた切れるので、回路図を見るとマッキントッシュ用に買った14V 20mAが使えそうだとわかった。これは優れもので、交流で使えるLEDなのだ。なので極性を気にすることなく接続すれば光る。内部に電流制限抵抗も入っているので安心だ。簡易配線で見事に点灯した。明るさも十分あるし発熱しないし、消費電流も少なくベストチョイスだと思う。この手の古い機器をLED化するには、良いパーツだ。
オリジナルの緑色は色付きチューブを被せている。同じものは手に入らないので、丁寧に取り外してLEDに被せた。この手の材質は普通の接着剤では付かないことがある。ボンドのウルトラ多用途SUは、オススメである。ポリプロピレンが付くので、大抵のものは接着できる。これを使ってから失敗したことはない。瞬間接着剤は便利だが、付かない樹脂も多いし、白色化するのが欠点だ。LEDの外径も、オリジナル電球と変わらないので、そのまま取り付けられる。1日待って完全に乾いたら、実装してみよう。
LEDはうまく実装できたが、どうやってフロントパネルに出力表示LEDとこの電球を実装できたのか?と思うほど、取りつけが困難で、最初に電源SWを外してようやくうまくいった。LEDは輝度も緑色の具合もちょうどいい感じになった。この個体の健康診断を実施した。DCオフセットは1.9mVで無帰還回路は正常に動作している。±85V電源が+82.2と-82.7Vと低かった。バイアス電流が流れ過ぎていて、規定0.293Vの所、0.357Vになっていた。いづれも規定値に調整し、今度はエージングを実施してみよう。パネルやガラスを中性洗剤で洗ったら、ホコリが取れて綺麗になった。
2026/2/8 PIONEER M-Z1 修理1
A級アンプ探求シリーズ 第2章は、パイオニア M-Z1だ。純A級60W 現物は想像してたものより、大きく重い。早速バラそうと思ったらできない。現物を手に入れてみないとわからないことはたくさんある。ネットの記事だと、いきなりバラシているので問題など全くないと思っていたが違った。天板が外れないのだ。なんと特殊ネジが使われている。多くはレンズの固定などに使われる頭にひっかかりが無いタイプで正式には「カニ目ネジ」と言うらしい。カニの目のように小さな穴が2つ浅く開いているだけだ。ドライバーやスパナでは外せないのだ。「カニ目スパナ」または「ピンドライバー」と言う工具で外す。ところが今回のサイズは「ピッチ6mm ピン径1mm」というサイズで、ほとんど使われないらしく、ぴったりのものが見つからない。仕方なくケイバのピン先が極細のマイクロヤットコを購入してみた。これで外せれば良いのだが。デザインの為だと思うが、それなら中心穴を合わせる加工精度を高めたほうが、余程カッコいいと思うのだが。今回の物は¥11.4万で入手。音は出るらしいが、片方がノイズが出て、片方が電源パイロットランプ切れと言うシロモノだ。見た感じ、完全オリジナルで一度も開封された形跡がない。パイロットランプは電圧が合いそうなので、マッキントッシュ用の両極LEDに交換するつもりだ。ノイズは、地道にパーツ交換とハンダクラックを探すしかなかろう。
さすがに金がかかっている。基板はガラエポだ。ダイオードの足は真っ黒なので、交換対象だ。ヒートシンクをまたぐケーブルの保護は変色し茶色になっている。発熱が凄いのと、適切な通風環境でなかった可能性がある。ワイヤーラッピングさえなければ、整備はなんとかなるだろう。電解Cは、金のかかったガラスケース入りの特注品で、もう絶対手が入らないものなので、交換するかどうか迷う所だ。自分はオリジナルパーツに、こだわりはないほうだ。それより容量低下、絶縁低下のほうが重要だと思う。恐ろしいことに傾けたら、カラカラと音がした。取り出してみるとガラエポ基板を止めるネジが出てきた。製造時の閉め忘れか?今まで良くショートしないで動いていたものだ。人間のやることだから、ミスも当然ある。これは本当の話だが、友人が新車で買ったクラウンアスリート3.5が、始動時にカラカラ言うので見てもらったら、なんとオイルパンから摩耗したベアリングキャップボルトが出て来たそうだ。締め忘れか、まぎれ込んだのかは不明。走行中に噛んだら大事故になっていた可能性もある。たまたま一般道でトロトロで走っていたら、エンジンが止まって再始動が出来ずレッカー牽引になったとのこと。5万キロも乗って無事だったことは奇跡に近い。当然のごとく、エンジンは無償で新品に載せ替えてくれたそうだ。恐ろしや!
2026/2/5 Technics SU-C3000をDC駆動したい
JEFFのコヒレンス(バッテリー駆動)を聞いてから、DC駆動できるプリアンプが聞いてみたくなった。コヒレンスなぞ、とても買えるシロモノではないので、国産を探すとマランツとテクニクスにあるのがわかった。マランツSC-5は、ほとんど市場に出回らないし高価だ。テクニクスのSU-C3000はSU-C7000の弟機ということで、たまに見かける。今回、たまたま良さそうなのを見つけたので、購入してみた。自分は、マッキントッシュもそうだが、メーター付きに弱い。サンスイのB2301Lやマッキントッシュ、そしてマランツ8やエアタイトのアンプなどが好きだ。今回のはコヒレンスにもない、バッテリー電圧計が中央にデーンとあるのが、たまらない魅力だ。これを12.5万ほどで入手。当然ながらバッテリーは寿命を向えている。AC駆動は、できているとのことなので、DC駆動もできるだろうと、ここは賭けに出た。すでに純正バッテリーの12V 2.2Aの2パック入りは入手できない。なので実装できそうなのを海外から取り寄せることにした。これが17720円。寸法が同じで容量も同じ。アマゾンだと純正と同じのが売っているが、1本23563円と高額だ。これだと2本で5万にもなってしまう。なのでドイツから輸入することにした。電源仕様は最初、12Vの並列駆動だと思っていたが、マニュアルを見ると違っていた。今回買ったのは、wartungsfrei Ausg: Verbinder 2,3Ah Batt: Blei-Säure AGM 12Vと言うもので、2.3A仕様なので、純正よりわずかに容量アップしている。ドイツからやって来るのが楽しみだ。

なんと並列でなく直列になっていた。しかも24Vで使うのではなく、プラス12Vとマイナス12Vを作っていたのだ。コヒレンスの解説を読むと26.44Vでフルチャージ、23.43Vでロー、22.83VでACモードに切り替わるとあった。何故24V表記なのかわからなかったが、これで理解できた。動作は12Vで動かして、制御は24Vでやっているのだ。同じくSU-C3000のほうは、13.5Vでフルチャージ、10.5VでローモードになりACモードに移行するようだ。この4ピンのコネクタは、もうどこでも入手できないので、これを壊さずに改造する必要がある。海外輸出機の一部に使われたようで、単品販売がされなかったので、入手ができないし、探したが見つからなかった。今回買ったものは、バッテリーが内臓されているので、良く解析してみよう。4ピンコネクタのバッテリー側で本当に中点が接続されているなら、面倒な改造になる。だが、これができれば面白そうだ。投資したのだから、最後まであきらめずにやってみようと思う。もし完成したら友人宅に持ち込んで、コヒレンスとどのくらい差があるのかを、確かめてみたい。
もう少しバッテリーについて調べてみた。なんといつも利用しているDEGIKEYで買えるのだ。しかもこっちのほうが安い。焦って買って失敗した。これも勉強だ。PS-1220F1と言う型番で、こちらは2.5Aある。純正より容量アップしている。もし今回の改造?がうまく行ったら、これも試してみたい。

ドイツのバッテリーは高いのでキャンセルし、上のPS-1220F1をデジキーから買うことにした。なんと送料サービスで2ケで¥9541だ。これはラッキーだ。しかも端子がF1ファストンだとわかった。現物を見てないので確定ではないが、たぶん無改造で純正の接続ケーブルが使えるはずだ。ダメだったら変換するしかない。もしC46より良かったら、どうしようなんて聞いてもいないうちから、期待だけは膨らんでいる。
2026/2/1 AccuphaseのSP端子にCARDASを付ける方法
ご存じのようにAccuphaseのSP端子は、極太ケーブルが入るように端子がデカい。ただデカイだけでなく、ポスト部分も実測φ9.2mmもあり、通常のYラグは、せいぜい8.5mm程度なのでまず入らない。今時のハイエンドは、端子がバラなのはないが、会社の方針なので仕方がない。よって通常のYラグのハイエンドケーブルは、入らない。CARDASも7.5mmなので入らないが、何とか入れる方法がないか探した所、やっと見つけた。バナナ端子を使うのだ。それもバラ線をネジで締め付けるタイプのもので、ネジ部が十分な長さを持っていることが重要だ。これがその画像。アマゾンで見つけた。端子自体の品質は、高級と呼べるものではないが、CARDASが使えるだけでありがたい。もっとも先端がバナナ端子なら、そのままAccuphaseに取り付けられるのだが。バナナ端子は、接触部分が不安定なので、好きではないが、背に腹は代えられない。これで音質が戻れば大成功だ。

2026/1/30 Accuphase PRO-20
購入したアンプは、アキュフェーズのスタジオ用(PA用ではない)のパワーアンプ PRO-20である。自分の中では、A級動作が今一番気になっているので、購入してみた。この後に、もう1機種 純A級 モノラルアンプが来ますが。このPRO-20は、出力や筐体の作りから純A級のA-50が母体になっているのは間違いないようだ。それにしてもこんなにデカくて、重いとは思わなかった。意外だったのは発熱量だ。でかいヒートシンクのおかげもあってか、ちょっと暖かいぐらいで、アッチッチとはならない。A-20もそうだったが、出力段がメタルキャンタイプでないMOS-FETは、熱くならないのだろう。バカでかいトランスと電解Cは圧巻だ。十分な空間が確保されているのは、音にもメンテにも寿命にも良いことだ。バイアス調整をやってみようと思ったが、基板の上下にトリマーがあるので、通常の設置だと、上側の出力段のバイアスしか調整できない。A-20は、上側だけについていて、テストピンは上下のトランジスタを出力から出ていたが、PRO-20は、上下個別に調整するようだ。起動時から30分後までの、エミッタ抵抗0.47Ωでの両端電圧値は、L側が27.5~24.2mVに変化し、R側が34.5~30.1mVに変化した。サービスマニュアルがないので正しい値が不明だが、仮に30mVから計算すると、本来の50W時の出力から計算した値の約1/3程度のアイドル電流しか流していないことになる。この場合64mAとなり、A-20の258mAよりかなり低い値になる。自分の計算が間違っているのか、本来の設計がそうなのかは、わからない。わかったのは、左右でかなり値のひらきがあるので、いつか揃えてみたいが、重量が46.8kgもある巨漢なので、体力のない爺さんには、辛い仕事だ。
作りは、まんまA-50だ。筐体の剛性も高いし、仕上げも手抜きがない。A-50だった証拠がいくつかある。リアパネルはA-50そっくりでSP端子のデカさが違う。のちにマイナーチェンジがあったようで、A-50と同じSP端子になって、リアパネルはA-100に近くなっている。フロントパネル裏には、本来メーター回路があるが、基板にパラパラとパーツが載っているだけになった。ドライバーと出力段はA-50そのものに見える。贅沢な金色のケースに収まったドライバー基板も見える。出力段は、上下に10ケずつ計20ケのパワトラで片側チャンネルを担っている。ここにも金色のバズバーが使われており、プロ用=雑な作り、と言うのは通用しない。問題は、出てくる音が、金ピカでないことを祈るばかりだ。
とりあえず左右差が気になるので、バイアス調整をしてみる。そこで1つだけアキュフェーズらしくない所を見つけた。トリマー調整時、シャーシが邪魔でナナメドライバーになるのだ。手前のシャーシにサービスホールを開けるだけで良いのだが、それをあの会社がやらなかったとは考えにくい。なので想像だが、左右の基板のケーブルが長く、基板を引き出した状態で作業が出来るのではないか? やってみないとわからないが、どう考えてもアンプの下にもぐって作業するとは考えにくい。もしくはアンプ本体でなく、ヒートシンクアッセンブリーの状態で調整するのだろう。こう考えれば、納得が行く。でもシロートに専用治具はないので、写真のような状態で実施した。ヒートシンクは、根元が太く先が鋭い形状が一番効率が良く、かつ先端を上に向けるのが良いと熱力学で習った気がする。面倒だがR側ができたら、一度、反対向きにしてL側をやって見よう。まずはR側のスタート時の電圧は上が52.5mV 、下が49.9mVで上下は良く揃っているようだ。これで30分放置後、調整する。車だってV型エンジンの左右バンクでアイドルがバラついていたら嫌だろう。BMWの宣伝でこんなのがあった。「もしV12エンジンの片方のバンクにトラブルが起きても、そこにはまだ世界一滑らかな直列6気筒エンジンが生きている。だから、あなたは優雅に目的地へ辿り着ける」こんな感じだった気がする。何と言う自信と確信に満ちたフレーズだろう。物作りメーカーとは、こうでなくちゃ。30分前だが、R側の上下は素晴らしい精度で調整されているようだ。30分後の値は、上31.5mV、下31.3mVだった。素晴らしい!よってバイアスの調整電圧値は、31.5mVとしよう。R側はいじらず、L側だけを調整することにする。勝手な数値を作ったりせず、個体の持っている数値を使えば失敗する確率は減らせるからだ。L側は上31.7mV、下33.3mVにした。下側はトリマー最小でも、これ以下にはできなかった。ドライバー素子が、そろそろ限界に来てるのかも知れない。とりあえず調整は、ここまでで明日、試聴してみる。この個体は、スタジオで使われていたことに間違いない。何故、そんなことがわかるかと言うと、1つはRCA端子がピカピカで使われた形跡がない、2つめはホコリが単一の粗材しかないことだ。普通、家庭で使用すると、ホコリは綿ホコリ、繊維、髪の毛、動物の毛、虫の死骸などが、必ず入り込むが、この個体には、それが全くない。なのでスタジオユースと判断した。スタジオなら空調は完備だから、高熱、高湿にさらされてはいないだろう。腐食や変色も全くない。大事に扱われてきたなら、大事に使ってあげたいと思う。あとは音質だ。
ノーチラス801の中高域を担当させたPRO-20だが、結果が予想外だった。まず全体の音色だが、MC252とほとんど変化がない。妙にギラ付くことのない自然体の音だ。出力トランスのない通常のパワーアンプになって、透明度が良くなるのかと思ったが、これもほとんど変わらない。つまり最近のマッキントッシュは、以前のようなベールをかぶったような音ではないと言うことだ。ベールがあるのは、MC7300,MC300ぐらいまでで、MC352より以後は透明度に不満はないだろう。ボーカルもしっかりと中央に音像が立って、立体感があるのは、そのままだ。では何が変わったかというと、ベースラインやドラム類の低域だ。ベースのキレが抜群に良くなっているのだ。太くて締まりがあって、かつ立ち上がりも早い。この変化は予想外だった。50WまでA級動作の制動力が発揮されているのだろう。最大出力は100Wだが、500Wで使っているMC252と比べてもパワー感は、全く変わらない。N801の低域のクロスは350Hzだ。この辺の帯域が、ベースの締まりに効くのは、新しい発見だった。ところがSPケーブルをCARDAS QUADLINK-5CからZONOTONE 2200αに換えたら普通の音に戻ってしまった。どうやらCARDASでないとダメらしい。ところがPRO-20のSP端子の外径が9.2mmもあり、CARDASのYラグは7.5mmしかないので入らない。オヤイデのYラグでも8.4mmで、これも入らない。仕方なしに2200αにしたのだが、また悩みが増えた。バイアスを合わせてからは、発熱も結構ある。42℃ぐらいの感じだ。PRO-20の消費電力を測ろうと、KOJOのクリーン電源:Mt-1000につないだら、いきなりオーバーロードで電源が落ちた。Mt-1000は、PRO-20の起動ラッシュカレントに耐えられないようだ。最大負荷は1000Wと謳っているので、残念だ。一方、SINANOのHSR-1000は、問題なくPRO-20が立ち上がった。こちらも1000W仕様だが実力は、遥に上のようだ。設置スペースを見つけて、前段をMt-1000,後段をHSR-1000に交換してみたいものだ。ただしいくらHSR-1000でも、PRO-20とMC252 2台を同時には駆動できないだろうから、駆動するならPRO-20だけになるだろう。PRO-20の消費電力は、8Ω定格で375W、MC252は8Aなので800Wとなるが、そんなには食わないはずだ。せいぜい300Wぐらいのはずだ。なので合計で975Wで1000Wギリギリだ。負荷次第では1000W越えて、電源が落ちるかも知れないので、200V電線から減圧して電源を取る方が安心だ。
写真はサーミスタ制御の自作冷却ファンである。表示温度はヒートシンクの温度で、25℃になったら自動的にON-OFFするように作ってある。これは約1時間普通の音量で聞いたときのもので、室温が16℃だったので、温度上昇は20℃言うことになる。これがあと10℃上がると46℃になり、純A級アンプの領域に入ります。これはPASS ALEPH0の時に作ったもので、その時は50℃ぐらいにはなってたので、熱くて触れないギリギリの温度で動作していたことになります。まだ開封もしていないPIONEER M-Z1は純A級 60Wなので、どのくらい発熱するか興味があります。こっちは今年1年かけて、じっくり仕上げる予定です。PRO-20は、プロ機ですが、雑な所は一切なく、うちのシステムに溶け込んでおります。AB級100W A級50Wのパワーは、十分な駆動力があり、500WのMC252ブリッジと全く互角の制動力を持っている。妙に尖がったキャラクターが無いのも、使いやすいアンプです。劣化は必ず進行するが、今回の冷却ファンで、少しは劣化が遅れるのを期待しよう。連続使用しても全く不安がないのは、さすがはスタジオ用アンプと言う印象だ。

2026/1/27 パワーアンプ 100W+100W/8Ω 50WまでA級動作
自分のメインシステムはWADIAのCDPとDAC MCINTOSH C46+MC252 3台にB&W ノーチラス801の組み合わせだ。良く聞くのはロックとポップスで、C46のボリューム表示は50でMC252のメーターを見ると、だいたい2.5Wから最大で25Wに瞬間的に振れるぐらいで聞いている。これでも相当な音量になる。ということは、50Wもあれば十分なのだ。今度来るパワーアンプは、中高域を担っているMC252に換えたら、どんな感じになるかを、やってみたくなったからだ。ただし普通に手に入るものでは面白くないので、A級動作して、かつ滅多に市場に出ないものを選んだ。定格出力は100W 8Ωで、50WまではA級動作する。可変バイアスA級アンプの部類に入るものだ。さて、機種は何でしょう?ヒントはMC2600と同じように、スタジオモニターを鳴らすために開発された機器で、PA用のアンプではない。
自分が使った純A級アンプは、LUXMAN M06α、ML20.5L PASS ALEPH0、ACCUPHASE A-20だ。M06αは、雰囲気重視の柔らかめの音で、発熱は凄かった。20.5Lは「これがたった100Wのアンプなのか?」と思うほど、パワフルで強力な制動力を持っていて、JBL4365の38cmウーハーを完全に制御していた。逆に凄すぎて4365から出てくる音としては、つまらなくなった。発熱は物凄かった。ALEPH0は、自然体の音、制動力はほどほどだが、全域が誇張感のない音で統一されていた。もう一度使いたいアンプだ。これも発熱がすごかった。測ったら50℃以上に簡単に到達した。A-20は、センターSPの高域用に使っている。最近の設計らしく、透明度もキレもある。パワーは20Wしかないので重いウーハーは無理だ。A級なのだが、ヘタなAB級より発熱しない。意外と使いやすいかも。自分のA級アンプに求めるのは、しなやかさと制動力だ。今度のアンプは、どんな感じか楽しみだ。ほかに印象に残っているのは、可変バイアスA級のクレルである。クレルは、KSA250を2回買った。強烈な発熱とスロースタートの性格だが、暖まると強力な制動力としなやかな中域が魅力だった。ただ同じKSA250でも、個体差があるようで、2台目からは、しなやかさが消えていた。その後はFPB350Mを使った。こちらはマイコン制御のおかげか、発熱はそれほどでもなかった。パワフルな音がした。いろんなアンプを使ってきたが、W数 イコール パワフルか?と言えばそうでもないし、どこかのAD社が盛んに自慢してたダンピングファクターが1000あると100のアンプより10倍も制動力があるかと言えば、これも当てにはならない。だってダンピングファクターは出力段からSP端子までの抵抗値だから、ただの数字のお遊びにしか過ぎないと思っている。自分の経験では「いかに瞬間的に電流を流せるか」マッティー オタラ氏が言ったHICC理論が重要な要素の気がする。アンプなんて「評論家が聴いた時が、こんなだった」と言うだけであって自分の家で聞いてみないと、何もわからないのである。そこが車やテレビとは全く違う性質の製品なのだ。だから面白い。
2026/1/14 WADIA WT-2000s アイパターン測定
1/6の測定で、SONYの波形に比べて、立ち上がりが鈍いのと、信号が鮮明でないのは、測定器とプローブとしっぽ出しのせいだと判明した。測定器は150MHzで理論上の性能は十分なはずだ。だがここは更なる上を目指す。プローブもパッシブ型は容量成分が多く波形がなまるとのこと。なのでFETプローブを使ってみたい。この2つを叶えるのが、岩通 SS-7830だ。300MHzで帯域は現行の2倍取れる。さらに12V電源を内蔵するので、FETプローブのSFP-4Aが使える。早速、導入して測定してみた。下の写真は、左が前回のもので、右が今回のもの。テストCDのトラック4を使っていて、条件は全く同じ。しっぽ出しも、そのままだ。見て違いがハッキリわかる。右はアイパターンの菱形がクッキリ見えるのがわかる。波形の立ち上がりもピンと立っている。同じデータを再生していても、こんなに測定データが違うのだ。左を見ると、このピックアップはそろそろダメなんじゃないか?と思うだろう。しかし右なら、まだまだ使えると判断して問題ないだろう。電圧値も1.334V出ていて元気だ。岩通のオシロのほうが、新しいのか、いろいろと使いやすいのも確かだ。これでしっぽ出しをなんとかすれば、SONY並みの波形になるだろう。やはり測定器は大事だ。FETプローブは、高いだけあって、性能も抜群だ。
2026/1/6 WADIA WT-2000s ピックアップ交換
現状の状態で問題はないのだが、より綺麗なRF信号が出そうなピックアップを見つけたので、交換してみることにした。ドナーはSONYのCDP-227ESDである。まず最初に、全く同じ条件では、測定できないので、WADIAのほうがハンデがある。それはSONYは基板上のチェックピンを直接プローブで掴むことができるが、WADIAはチェックピンがないので、細いケーブルをハンダ付けして「しっぽ出し」の状態で測定しているからだ。写真左のRFと書かれているのが、RF信号が来ている部分である。ピックアップ交換は写真右の状態までバラせば、メカを降ろさないでも交換できる。VRDSターンテーブルと側板、底板、天板だけ外せば、交換できる。ただしちょっとテクニックは必要だが。
アイパターンを見て見よう。左がSONYのプレーヤーにオシロをつないで見たもの。クッキリ、ハッキリ、アイパターンが見えており理想的と言えるだろう。波高値は、1.3V程度出ている。中央が交換前のWADIAのピックアップ。全く同じ条件で測定しているが、WADIAのほうが周波数が低く見える。アイパターンはぼやけてクッキリとは見えない。波高値は、1V程度出ている。さて最後がSONYのピックアップを移植したWADIAの波形だ。波高値は、1.3V程度に上がっているが、アイパターンは見えない。左の写真が本来の性能だとすると波高値は同じになった。とするとアイパターンが見えないのは、しっぽ出しのせいなのか?それともWADIAの基板設計のせいなのか、疑問は深まるばかりだ。
2026/1/4 P-30 VS WADIA WT-2000s
さて、いよいよ試聴開始。両者とも公平を期すため、電源ケーブルは汎用品を使うことにする。まずはP-30から。SNにこだわって設計されているだけあり、全体に透明度が高い印象だ。レンジも下も上も伸びているように感じる。問題はベース、バスドラ領域の音の出方だ。音量感はあるが、何故か質量が少ないと言うか、重さを感じにくい気がするのだ。これだけ聞けば、大したもんだと思う音なのだが。そんなに差はないだろうと思いながら、WADIA WT-2000sに換えてみる。全体の透明度はP-30のほうが勝る。問題は低域だ。スピード感と質量を伴った低音は、気持ちが良い。これがハマると抜けられないWADIAサウンドだ。同じVRDSメカを積み、基板もTEAC製だが、音はWADIAの音なのだ。ゴリゴリの低音が気持ち良く、ボーカルのフォーカスも絞り込まれている。やはりWADIAの音は、簡単には越えられないようだ。P-30はVUK-CLKにより、48KHzにアップサンプリングされたデータをWADIA2000 ver96に送り込んでいるが、高精度なクロックより、筐体全体の作り、音作りのほうが影響度が高いようだ。設計が新しい分だけ勝る点もあるが、P-30は今一歩、WT-2000sには及ばない。やはり一体型の最高峰のP-70を試してみるしかないのか? ただしTEACの目指す音とWADIAの目指す音は違う。オーディオは高次元な所では、機器の性能自体は変わらなくなるから、最後は、その音が好きか嫌いかで決まる。改めて聞いて見ても、WT-2000sは、素晴らしい。これで決心がついた。1つだけ心残りだったピックアップのアイパターンが本来のものでなかったので、ピックアップをより寿命がありそうなものに交換しようと思う。P-30の低域の問題は、ピックアップの出力電圧が0.7Vしかないのが原因かも知れないが、これはやって見ないとわからない。試聴が終わって、ふとラックの裏に回ると、なんとP-30にはシナジスティックリサーチ ACマスターカプラーが刺さっていた。と言うことは、ハンデ戦だったわけで、それでもWT-2000sの方が良かったと言うことは、P-30は残念ながら完敗と言うことになる。
2026/1/3 ESOTERIC P-30 VUK-CLK メンテ2
まずはVRDSメカユニットの取り外しから。WT-2000sと比較するとメンテ性は素晴らしく良くなっている。これでメカユニット単体で取り外せれば完璧だった。メカユニットは左右の基板の下に取り付けネジが隠れているので、左右の基板を外す。左の写真まで取り外す。コネクタ接続で、刺し間違えも起きない設計になっている。VRDSのブリッジは樹脂製だ。ターンテーブルはアルミか亜鉛合金のようだ。軽いが叩くとチーンと金属音がする。この辺はコストダウンが見られる。トレイもWT-2000sのような金属製でなく樹脂製で、この上にネクステル塗装をかけている。トレイは右下のツメを上げると簡単に引き出せる。WT-2000sは、トレイの位置出しに上下、左右ネジ調整が必要だったが、P-30は無調整で位置が決まる。これは大きな進歩だ。P-30の進化は、ノイズに対する配慮がWT-2000sとはレベルが違う。剛性の高い銅メッキシャーシを使い、アース線は何本も接続され、少しでもSNを良くしようと言う意図を感じる。これではWT-2000sも、うかうかしていられないだろう。またケーブル配線もシンプルだ。ディスプレイ用のフラットワイヤーはWT-2000sでは何本もあり、しかも非常にやりにくく、刺さったかどうかの確認ができないような所にあったが、P-30はたった2本しかないし、接続も確実にできる。たった2年で、こうも違うのかと感心した。
次が本邦初公開のVUK-CLK基板だ。完全に独立したクロック専用基板だ。16.934MHzだ。この数値はあとから出てくる。ピックアップはSONY KSS-151A。これに貼ってあるH490と言う数値を覚えておく必要がある。今回、ピックアップは交換しない。
さてベルト交換だが、これがまた面倒な構造になっている。クランパーのリフトアップ用のベルトは、バラバラにしないと交換できないのだ。左がリフトアップメカASSYで、先端のEリングを外しただけでは、交換できない。クランパーをリフトするアームの支点の軸を外さないとベルトは抜けないようになっている。この時点でモータとリミットスイッチも外します。右の写真の左側が付いていたベルト、右側が交換するベルトだ。
ベルトは特注品だ。寸法は同じだが、ゴム硬度を2種類作ってもらった。今回はプーリー径が小さいので柔らかいほうを選ぶ。材質はEPDM系の特殊配合だ。ネットで交換用ベルトが売られているが、材料名も硬度もわからないようなものは、信用できない。ゴムは安価なパーツではあるが、侮ってはいけない。タイヤと同じで全体の性能を左右しかねない重要なパーツなのだ。今回のベルトは、毎日2時間使っても軽く10~20年は持つだろう。そのくらい信頼性の高いベルトだ。もう1つのトレイ開閉用ベルトも同じ寸法で、こちらの交換は簡単だ。レールにタミヤのミニ4駆の樹脂用グリスを塗布しておいた。この個体は、ギヤの摩耗、カケもなく、ベルトも加水分解してなかったので、ひょっとすると余り使っていない個体かも知れない。それはピックアップの性能を見れば、分かるのだ。
先ほどの16.394MHzがここで出てくる。最初にやるのは基準クロックの確認だ。16.3944MHz±50ppmに入っていることを確認する。バッチリで問題なし。次にR407 22Ωの両端電圧を測定する。1.088Vだった。これが何を意味するかというと、ピックアップの劣化を見ることができる。もし最初の電流値より10mA以上大きくなっていたら破損している可能性がある。ピックアップは使用により徐々に電流値が増えていくので、この10mAが目安となる。ピックアップにはH490と記載があった。これは「最初は49.0mAでしたよ」と言う意味だ。今回の場合、電圧が1.088V 抵抗値が22Ω。これをオームの法則で計算すると49.5mAとなる。つまり電流値は、ほとんど上昇していないので、ピックアップはバリバリの状態と言うことだ。ひょっとすると1度交換しているかも知れない。ピックアップの標準品はHが付かないが、保守用はHが付くらしい。真偽は定かではない。ピックアップは予想どおり使えそうなのがわかった。これでアイパターンの波形と電圧がきっちり出れば、言うことなしだ。
次がスレッドバランス調整。TP4の1,2番ピンの電圧が0VになるようにV405を調整する。調整前が16.7mVだった。規定値の公差表記がないが、これでも十分小さい数値だろう。念入りに調整し0.1mVまで、押さえ込んだ。古い個体は、このようにきっちり調整できることが重要で、ダメなものはいくらトリマーを回しても調整できなくなる。基板の素子の劣化やトリマーの劣化が起きると調整も面倒で、ピッタリの値にできなくなってくるのだ。このようにきちんと反応する個体は、状態が良い証拠だ。
次からが段々むづかしくなってくる。次はトラッキングバランス。これはオシロを見ながらの調整になる。左がトラッキングバランスの画像。トラックスキップ時の波形を見るのだが、毎回コツがつかめない。とりあえず中央付近にいるので、いじらないことにする。いよいよ最後のアイパターンの観察だ。これはきっちりとテストCDのトラック4で調整する。YEDS-18で試験しないと意味を成さない。何故なら、これがメートル原器と同じ役目をするからだ。これと普通のCDでは、メートル原器と、ものさしぐらいの差がある。それくらい厳密に作られているし、調整トラックも指定されている。アイパターンは、一見良さそうだが、電圧が出ていないし、アイパターンの格子も鮮明ではない。本来はマス目1つ1つがクッキリと見えるのだ。正常なら出力電圧は1.1~1.5Vぐらい出るはずだが、0.7Vぐらいしか出ていない。残念だが、このピックアップは寿命のようだ。フォーカスオフセットは規定値50mVに対し40mVに調整した。以上より、この後のフォーカスゲインとトラッキングゲイン調整は実施しないで、試聴してみることにする。そこそこ行けそうなら、ピックアップを調達しようと思う。
2026/1/1 ESOTERIC P-30 VUK-CLK メンテ
今年最初の記事は、P-30のメンテから。中古で手に入れたP-30だが、嬉しい誤算があった。なんと2006年9月に内部クロックのバージョンアップが実施されたモデルだった。確かにクロック基板が新たに1枚、デジタル出力基板の前方に実装されている。ノーマルバージョンでは、この基板は見当たらない。P-30の構造は良く考えられている。左にデジタル出力基板、中央にCDメカと電源部、右にサーボ基板が配置され、各部の干渉の影響を最小限に抑えている。しかもシャーシは全て銅メッキ製。リアパネルは銅メッキの上に塗装をする凝りようだ。金がかかっている。1994年12月発売で35万。WADIA WT-2000sは1992年発売で78万。倍以上も価格差があるが、音がどうなのか興味がある。WT-2000sは、より高精度なCDメカを搭載している。開閉はギヤでなく、ワイヤーで引っ張る方式で、VRDSディスクは厚く緑色の乱反射防止コート処理を実施、ブリッジはアルミダイキャスト製だ。P-30は開閉機構、ディスク、ブリッジなど、さすがに最高級メカは搭載していない。ところが、王者P-70VUと同じメカを積むバージョンアップサービスもあったと聞き驚きだ。P-70と同じメカを積んだものがあったら、相当なレア個体だ。となるとP50sはP-70の試作機だったと言う気がする。理由はペアになるDACが存在しないからだ。P-30とP-70にはペアのDACがある。
クロック基板を見て見よう。左のシールは底板に貼ってあり、出品者も気づかなかったようだ。確かに底板を見る機会はなかなかないだろう。2006年9月なので今から20年も前になる。中央が追加されたクロック基板。精度が1ppmまで高められたもので、この効果は絶大なはずだ。ノーマルはせいぜい30~50ppm程度だからだ。トリマーがあるので、電圧制御型のVCXOと見た。驚くのはこの基板を取り付けるためのタップが最初から開いていることだ。ノーマルの写真を見るとわかる。つまりESOTERICは最初からクロック交換を頭に入れて設計していたことになる。恐るべし。自分の個体は、トレイの開閉ができない。見ると開閉用のゴム角ベルトが伸びきっていた。これは故障でなく、パーツが寿命を向えただけだ。左右の基板を取り外さないと中央のメカは取れない。さらにクランパー用のベルトは、メカを全バラシしないと交換できない。根気のいる作業だが、やるしかない。ベルトを特注で作ってもらったので、使わない手はない。このベルトは国内のATMの紙幣搬送メカ用のゴムベルトを作っている超一流の技術力を持つメーカーに特注の配合で作ってもらったもので、一般では入手できないものだ。何が違うかというと、耐久性が違い、簡単には伸びたりしないし、加水分解もしない、でも硬くないので動きがスムースな理想的なベルトなのだ。一般のウレタンベースのゴムベルトとは、性能が全く違うのだ。今回手に入れたP-30はリモコンなしだったので、メルカリで純正リモコン:RC-567を¥7000で入手した。今やリモコンも価格が高騰し、安価な学習リモコンを高額で売る業者もいるので注意が必要だ。1万以上も出して、届いたのが学習リモコンでは、ガッカリだろう。しかもヤフオクの表紙の画像が純正リモコンなので、慌てて買うとエライ目に会う。今回入手したものは、動作未確認のものだったが、電池BOXが正常なら経験上まず問題ない。これは、ボランティアのおもちゃドクターでも同じで、電池金具に緑青が噴いていなければ、大抵はなんとかなる。スマホのカメラモードで赤外線点滅を確認したので、動くことは間違いない。ここで役に立つ情報を1つ。P-30はWADIAのリモコンでも動きます。やってみました。まだ逆はやってません。WADIAのリモコンは貴重なので、P-30のリモコンで動いてくれるとありがたい。