オーディオの部屋3 20260101~

2026/1/6 WADIA WT-2000s ピックアップ交換 

現状の状態で問題はないのだが、より綺麗なRF信号が出そうなピックアップを見つけたので、交換してみることにした。ドナーはSONYのCDP-227ESDである。まず最初に、全く同じ条件では、測定できないので、WADIAのほうがハンデがある。それはSONYは基板上のチェックピンを直接プローブで掴むことができるが、WADIAはチェックピンがないので、細いケーブルをハンダ付けして「しっぽ出し」の状態で測定しているからだ。写真左のRFと書かれているのが、RF信号が来ている部分である。ピックアップ交換は写真右の状態までバラせば、メカを降ろさないでも交換できる。VRDSターンテーブルと側板、底板、天板だけ外せば、交換できる。ただしちょっとテクニックは必要だが。

アイパターンを見て見よう。左がSONYのプレーヤーにオシロをつないで見たもの。クッキリ、ハッキリ、アイパターンが見えており理想的と言えるだろう。波高値は、1.3V程度出ている。中央が交換前のWADIAのピックアップ。全く同じ条件で測定しているが、WADIAのほうが周波数が低く見える。アイパターンはぼやけてクッキリとは見えない。波高値は、1V程度出ている。さて最後がSONYのピックアップを移植したWADIAの波形だ。波高値は、1.3V程度に上がっているが、アイパターンは見えない。左の写真が本来の性能だとすると波高値は同じになった。とするとアイパターンが見えないのは、しっぽ出しのせいなのか?それともWADIAの基板設計のせいなのか、疑問は深まるばかりだ。

2026/1/4 P-30 VS WADIA WT-2000s

さて、いよいよ試聴開始。両者とも公平を期すため、電源ケーブルは汎用品を使うことにする。まずはP-30から。SNにこだわって設計されているだけあり、全体に透明度が高い印象だ。レンジも下も上も伸びているように感じる。問題はベース、バスドラ領域の音の出方だ。音量感はあるが、何故か質量が少ないと言うか、重さを感じにくい気がするのだ。これだけ聞けば、大したもんだと思う音なのだが。そんなに差はないだろうと思いながら、WADIA WT-2000sに換えてみる。全体の透明度はP-30のほうが勝る。問題は低域だ。スピード感と質量を伴った低音は、気持ちが良い。これがハマると抜けられないWADIAサウンドだ。同じVRDSメカを積み、基板もTEAC製だが、音はWADIAの音なのだ。ゴリゴリの低音が気持ち良く、ボーカルのフォーカスも絞り込まれている。やはりWADIAの音は、簡単には越えられないようだ。P-30はVUK-CLKにより、48KHzにアップサンプリングされたデータをWADIA2000 ver96に送り込んでいるが、高精度なクロックより、筐体全体の作り、音作りのほうが影響度が高いようだ。設計が新しい分だけ勝る点もあるが、P-30は今一歩、WT-2000sには及ばない。やはり一体型の最高峰のP-70を試してみるしかないのか? ただしTEACの目指す音とWADIAの目指す音は違う。オーディオは高次元な所では、機器の性能自体は変わらなくなるから、最後は、その音が好きか嫌いかで決まる。改めて聞いて見ても、WT-2000sは、素晴らしい。これで決心がついた。1つだけ心残りだったピックアップのアイパターンが本来のものでなかったので、ピックアップをより寿命がありそうなものに交換しようと思う。P-30の低域の問題は、ピックアップの出力電圧が0.7Vしかないのが原因かも知れないが、これはやって見ないとわからない。試聴が終わって、ふとラックの裏に回ると、なんとP-30にはシナジスティックリサーチ ACマスターカプラーが刺さっていた。と言うことは、ハンデ戦だったわけで、それでもWT-2000sの方が良かったと言うことは、P-30は残念ながら完敗と言うことになる。

2026/1/3  ESOTERIC P-30 VUK-CLK メンテ2

まずはVRDSメカユニットの取り外しから。WT-2000sと比較するとメンテ性は素晴らしく良くなっている。これでメカユニット単体で取り外せれば完璧だった。メカユニットは左右の基板の下に取り付けネジが隠れているので、左右の基板を外す。左の写真まで取り外す。コネクタ接続で、刺し間違えも起きない設計になっている。VRDSのブリッジは樹脂製だ。ターンテーブルはアルミか亜鉛合金のようだ。軽いが叩くとチーンと金属音がする。この辺はコストダウンが見られる。トレイもWT-2000sのような金属製でなく樹脂製で、この上にネクステル塗装をかけている。トレイは右下のツメを上げると簡単に引き出せる。WT-2000sは、トレイの位置出しに上下、左右ネジ調整が必要だったが、P-30は無調整で位置が決まる。これは大きな進歩だ。P-30の進化は、ノイズに対する配慮がWT-2000sとはレベルが違う。剛性の高い銅メッキシャーシを使い、アース線は何本も接続され、少しでもSNを良くしようと言う意図を感じる。これではWT-2000sも、うかうかしていられないだろう。またケーブル配線もシンプルだ。ディスプレイ用のフラットワイヤーはWT-2000sでは何本もあり、しかも非常にやりにくく、刺さったかどうかの確認ができないような所にあったが、P-30はたった2本しかないし、接続も確実にできる。たった2年で、こうも違うのかと感心した。

次が本邦初公開のVUK-CLK基板だ。完全に独立したクロック専用基板だ。16.934MHzだ。この数値はあとから出てくる。ピックアップはSONY KSS-151A。これに貼ってあるH490と言う数値を覚えておく必要がある。今回、ピックアップは交換しない。

さてベルト交換だが、これがまた面倒な構造になっている。クランパーのリフトアップ用のベルトは、バラバラにしないと交換できないのだ。左がリフトアップメカASSYで、先端のEリングを外しただけでは、交換できない。クランパーをリフトするアームの支点の軸を外さないとベルトは抜けないようになっている。この時点でモータとリミットスイッチも外します。右の写真の左側が付いていたベルト、右側が交換するベルトだ。

ベルトは特注品だ。寸法は同じだが、ゴム硬度を2種類作ってもらった。今回はプーリー径が小さいので柔らかいほうを選ぶ。材質はEPDM系の特殊配合だ。ネットで交換用ベルトが売られているが、材料名も硬度もわからないようなものは、信用できない。ゴムは安価なパーツではあるが、侮ってはいけない。タイヤと同じで全体の性能を左右しかねない重要なパーツなのだ。今回のベルトは、毎日2時間使っても軽く10~20年は持つだろう。そのくらい信頼性の高いベルトだ。もう1つのトレイ開閉用ベルトも同じ寸法で、こちらの交換は簡単だ。レールにタミヤのミニ4駆の樹脂用グリスを塗布しておいた。この個体は、ギヤの摩耗、カケもなく、ベルトも加水分解してなかったので、ひょっとすると余り使っていない個体かも知れない。それはピックアップの性能を見れば、分かるのだ。

先ほどの16.394MHzがここで出てくる。最初にやるのは基準クロックの確認だ。16.3944MHz±50ppmに入っていることを確認する。バッチリで問題なし。次にR407 22Ωの両端電圧を測定する。1.088Vだった。これが何を意味するかというと、ピックアップの劣化を見ることができる。もし最初の電流値より10mA以上大きくなっていたら破損している可能性がある。ピックアップは使用により徐々に電流値が増えていくので、この10mAが目安となる。ピックアップにはH490と記載があった。これは「最初は49.0mAでしたよ」と言う意味だ。今回の場合、電圧が1.088V 抵抗値が22Ω。これをオームの法則で計算すると49.5mAとなる。つまり電流値は、ほとんど上昇していないので、ピックアップはバリバリの状態と言うことだ。ひょっとすると1度交換しているかも知れない。ピックアップの標準品はHが付かないが、保守用はHが付くらしい。真偽は定かではない。ピックアップは予想どおり使えそうなのがわかった。これでアイパターンの波形と電圧がきっちり出れば、言うことなしだ。

次がスレッドバランス調整。TP4の1,2番ピンの電圧が0VになるようにV405を調整する。調整前が16.7mVだった。規定値の公差表記がないが、これでも十分小さい数値だろう。念入りに調整し0.1mVまで、押さえ込んだ。古い個体は、このようにきっちり調整できることが重要で、ダメなものはいくらトリマーを回しても調整できなくなる。基板の素子の劣化やトリマーの劣化が起きると調整も面倒で、ピッタリの値にできなくなってくるのだ。このようにきちんと反応する個体は、状態が良い証拠だ。

次からが段々むづかしくなってくる。次はトラッキングバランス。これはオシロを見ながらの調整になる。左がトラッキングバランスの画像。トラックスキップ時の波形を見るのだが、毎回コツがつかめない。とりあえず中央付近にいるので、いじらないことにする。いよいよ最後のアイパターンの観察だ。これはきっちりとテストCDのトラック4で調整する。YEDS-18で試験しないと意味を成さない。何故なら、これがメートル原器と同じ役目をするからだ。これと普通のCDでは、メートル原器と、ものさしぐらいの差がある。それくらい厳密に作られているし、調整トラックも指定されている。アイパターンは、一見良さそうだが、電圧が出ていないし、アイパターンの格子も鮮明ではない。本来はマス目1つ1つがクッキリと見えるのだ。正常なら出力電圧は1.1~1.5Vぐらい出るはずだが、0.7Vぐらいしか出ていない。残念だが、このピックアップは寿命のようだ。フォーカスオフセットは規定値50mVに対し40mVに調整した。以上より、この後のフォーカスゲインとトラッキングゲイン調整は実施しないで、試聴してみることにする。そこそこ行けそうなら、ピックアップを調達しようと思う。

2026/1/1 ESOTERIC P-30 VUK-CLK メンテ

今年最初の記事は、P-30のメンテから。中古で手に入れたP-30だが、嬉しい誤算があった。なんと2006年9月に内部クロックのバージョンアップが実施されたモデルだった。確かにクロック基板が新たに1枚、デジタル出力基板の前方に実装されている。ノーマルバージョンでは、この基板は見当たらない。P-30の構造は良く考えられている。左にデジタル出力基板、中央にCDメカと電源部、右にサーボ基板が配置され、各部の干渉の影響を最小限に抑えている。しかもシャーシは全て銅メッキ製。リアパネルは銅メッキの上に塗装をする凝りようだ。金がかかっている。1994年12月発売で35万。WADIA WT-2000sは1992年発売で78万。倍以上も価格差があるが、音がどうなのか興味がある。WT-2000sは、より高精度なCDメカを搭載している。開閉はギヤでなく、ワイヤーで引っ張る方式で、VRDSディスクは厚く緑色の乱反射防止コート処理を実施、ブリッジはアルミダイキャスト製だ。P-30は開閉機構、ディスク、ブリッジなど、さすがに最高級メカは搭載していない。ところが、王者P-70VUと同じメカを積むバージョンアップサービスもあったと聞き驚きだ。P-70と同じメカを積んだものがあったら、相当なレア個体だ。となるとP50sはP-70の試作機だったと言う気がする。理由はペアになるDACが存在しないからだ。P-30とP-70にはペアのDACがある。

クロック基板を見て見よう。左のシールは底板に貼ってあり、出品者も気づかなかったようだ。確かに底板を見る機会はなかなかないだろう。2006年9月なので今から20年も前になる。中央が追加されたクロック基板。精度が1ppmまで高められたもので、この効果は絶大なはずだ。ノーマルはせいぜい30~50ppm程度だからだ。トリマーがあるので、電圧制御型のVCXOと見た。驚くのはこの基板を取り付けるためのタップが最初から開いていることだ。ノーマルの写真を見るとわかる。つまりESOTERICは最初からクロック交換を頭に入れて設計していたことになる。恐るべし。自分の個体は、トレイの開閉ができない。見ると開閉用のゴム角ベルトが伸びきっていた。これは故障でなく、パーツが寿命を向えただけだ。左右の基板を取り外さないと中央のメカは取れない。さらにクランパー用のベルトは、メカを全バラシしないと交換できない。根気のいる作業だが、やるしかない。ベルトを特注で作ってもらったので、使わない手はない。このベルトは国内のATMの紙幣搬送メカ用のゴムベルトを作っている超一流の技術力を持つメーカーに特注の配合で作ってもらったもので、一般では入手できないものだ。何が違うかというと、耐久性が違い、簡単には伸びたりしないし、加水分解もしない、でも硬くないので動きがスムースな理想的なベルトなのだ。一般のウレタンベースのゴムベルトとは、性能が全く違うのだ。今回手に入れたP-30はリモコンなしだったので、メルカリで純正リモコン:RC-567を¥7000で入手した。今やリモコンも価格が高騰し、安価な学習リモコンを高額で売る業者もいるので注意が必要だ。1万以上も出して、届いたのが学習リモコンでは、ガッカリだろう。しかもヤフオクの表紙の画像が純正リモコンなので、慌てて買うとエライ目に会う。今回入手したものは、動作未確認のものだったが、電池BOXが正常なら経験上まず問題ない。これは、ボランティアのおもちゃドクターでも同じで、電池金具に緑青が噴いていなければ、大抵はなんとかなる。スマホのカメラモードで赤外線点滅を確認したので、動くことは間違いない。ここで役に立つ情報を1つ。P-30はWADIAのリモコンでも動きます。やってみました。まだ逆はやってません。WADIAのリモコンは貴重なので、P-30のリモコンで動いてくれるとありがたい。